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業界動向

一般競争入札に続き、総合評価制度の導入が全国的に拡大中!

(大地 Vol.102 特集2)

米国の金融危機と景気後退に端を発した世界経済の急激な減速が、日本経済にも影を落としている。一方で、国内景気や雇用情勢の急激な悪化を受け、公共事業の削減を定めた「骨太方針2006」を一定期間凍結、景気重視の政策に変更する可能性も出てきた。しかし公共事業の発注については、一般競争入札の普及に伴う低価格入札が激増、工事品質への不安や建設業者の経営危機などの問題が顕著になっている。これらの問題を解決するため、国土交通省や地方自治体など公共工事の発注機関が、全国的に発注者協議会を発足して、活動を本格的に開始した。この発注者協議会では、総合評価方式の導入が急務であるとして、取り組みを進めている。総合評価方式の意義と具体的な対策について、発注機関の立場から千葉県庁県土整備部技術管理課室長大野二三男氏にお話をうかがった。


いままで公共工事の入札は、価格のみで決まっていましたが、これからはここをチェックして決めていく、というお話をお願いします。

大野 千葉県では平成19年10月から、総合評価方式を本格的に導入済です。予定価格5000万円以上の工事は、一般競争入札と総合評価方式をセットで実施しています。
 また、千葉県では、技術力を評価点に置き直して、それを価格で割って得た評価値がいちばん高いものが落札する、という「除算方式※」を採用しています。
 平成20年10月1日の入札契約制度の改善では、大きく2点を見直しました。
 1つ目は技術評価点の加算点を、従来は20点の加算点だったものを、30点に拡大しました。このことにより、技術力のある会社が落札しやすくなります。

技術をより大きく評価するということでしょうが、たとえばまったく同じものがつくれれば安いほうがいいですよね。そうすると評価する技術というのはどこを見られて技術といっておられるのですか?

大野 簡易型の総合評価方式では第1番目に「施工計画」に関する技術提案を求めます。
  (1) 工程管理に係る技術的所見
  (2) 材料の品質管理に係る技術的所見
  (3) 施工上の課題に対する技術的所見
  (4) 施工上配慮すべき事項
  (5) 安全管理に配慮すべき事項
 (1)番から(5)番のうち、最大2項目まで選択しますが、だいたい1項目が多く、A4サイズで1ページに自由書式で、技術的な所見を書いて提案していただきます。

工事ごとに項目は指定されるわけですね。

大野 道路整備課や河川整備課など各発注部署が、それぞれの現場の特徴に配慮した技術提案をお願いしようということで、入札の公告に記載します。

入札される方はそれを見て、自分が得意なテーマなら一生懸命、提案できるのですね。

大野 たとえば「(4) 施工上配慮すべき事項」では、その工事における特徴的なものを、こういうところに注意した技術提案をお願いしたい、ということを少し具体的に入札公告に示します。これに基づいて応札する業者さんから技術提案を求めることとなります。それに対して業者さんが現場等を自分の目で見て、自社ではこういうことを考えて施工したいというものを提案していただきます。
 2番目は、「企業の施工能力」です。これは過去10年間の施工実績の項目においては、施工実績のあるなしによって点数が分かれてきます。この場合は、国、県等の実績が2点、市町村が1点、実績がなければ0点です。そして工事成績ですが、過去の2カ年度間の工事成績の点数で、100点に近いほど高い評価になります。実際に工事を行っていない場合は、成績なしということで加点はしません。そして過去2カ年の優良工事表彰。これは県で優良工事を表彰していまして、それに基づいて表彰された場合は加点しましょうということです。あとは、指名停止など、文書で注意を受ければマイナスです。そして、過去の施工実績に比べて、いまの手持工事がどんな状況かということを配慮します。去年より手持工事量が多ければ点数はなく、去年より少ない場合はちょっと配慮するということですね。ここまでは企業の施工能力の評価です。
 技術力の3番目は、配置を予定されている技術者さんの能力評価です。どういう技術者を配置されますか、ということで、一級土木施工管理技士のような上位の資格を持っている場合には加点するということです。次に、過去10年間の土木工事の施工実績。国、県等では2点、市町村で1点、その他は0点としています。
 あとは継続教育(CPD)ですね。いま実際に加点しているのは土木関係だけです。

技術力以外の評価はどうしているのですか?

大野 企業の信頼性と社会性を評価する項目があります。地域のことをどれだけ知っているかということを見るために、地域精通度という評価項目があります。
 要はこの地区で工事をやったことがあるかどうかです。当該地域で国、県等の実績があれば2点、市町村で1点、その他は0点です。地域精通度を高めていこうということで、範囲は細かく分けさせていただいています。あくまでその工事ごとによって地域は違うので、範囲を広くとる場合には千葉県全域を設定するという場合もあります。
 次に、地域貢献度を評価しています。地震や風水害など、いざ災害が起きたときに地元の業者さんが対応してくれる災害時の業務基本協定を結んでいただいている場合には2点です。
 さらに、出先機関と地域の建設業団体が災害応急に関する細目協定を結んでいる場合には、さらに1点を加算します。
 最後は、過去2年間の公共工事での地産品の使用実績です。千葉県では現在のところ、地産品を3品目に限って評価しています。1つ目が間伐材、2つ目が溶融スラグ入りアスファルト合材、3つ目がエコセメントの二次製品の使用です。この3品目を過去2年間で、公共工事で使用している場合には評価しています。使用量の多寡については評価していません。極端な話、間伐材を仮囲いの杭に使用したといえば、それでも一応OKです。ただ公共工事だけでの評価なので、民間工事で使っても現在は評価していないのです。ここはちょっと見直していく要素もあるのかなと思っています。この3品目はみな環境に対する配慮、ということですね。間伐材はもとより、溶融スラグやエコセメントは、燃焼した灰、焼却灰を再利用ということで評価しています。当該工事に使うというのではなくて、過去に使っていただければそれを評価しています。

そうすると、だいたい入札する方は、ご自分でわかるわけですね。

大野 施工計画以外はわかると思います。2つ目の見直しは、いままで話してきたなかで、技術力に関する項目として、施工計画、企業の工事成績や優良工事表彰、技術者の資格について、また、地域精通度として当該地域での施工実績、地域貢献度として災害時の細目協定などについての配点を加点しています。
 なかでも高得点にさせていただいているのが工事成績を含む企業の施工能力で、38点中の15点ですから、点数的には3分の1以上を占めます。大きいかなという感じはするんですが、工事でいい点を取っていただければ、次もお願いしやすいですよ、ということで、より丁寧な施工を求めているわけです。
 施工計画の項目を2項目選択するというのは、工事規模がある程度大きい場合ですが、その場合は施工能力以上に施工計画の点数が大きくなります。2項目を選ぶかどうかは、工事を発注する主務課のほうで判断しています。この工事についてはこれとこの2項目にしましょうとか、1項目にしましょうとか、そういうふうに判断しています。

ここまで簡易型についてご説明いただきましたが、簡易型と特別簡易型の区分は?

大野 緊急な場合は別ですけれども、基本的には5000万円から1億円はだいたい特別簡易型、1億円以上は簡易型で、5000万円以上の工事では原則、総合評価を適用しています。


今回は、ひとつの事例ということで、千葉県庁を取材させていただきました。
 しかし、いずれはすべての発注機関で、一般競争入札と総合評価制度がセットで導入されていくと思われます。
 また千葉県では、予定価格が2500万円以上の工事については、入札価格の大幅な低下に対して『価格による失格基準』を導入した『低入札価格調査制度』を整備されています。このように、技術力で加算評価を行い、その一方で低価格を排除するという、価格と技術の両面からの制度整備は、発注者協議会という発注者の組織化を背景に、全国的な流れになっていくものと考えられます。
 自社の営業地域の発注制度にご注目いただき、適正な競争入札で健全経営に努めていただきたいものです。