KOMATSU
経営・技術イノベーションコマツ・ソリューション鉱山採石テクノロジ業界情報インフォメーション耳寄りリンク集

HOME > 業界情報 > SAISEKIコラム
業界情報
SAISEKIコラム 品質管理

JCI・骨材の品質と有効利用に関する研究委員会 〜骨材の活用方向検討〜
はじめに

〈寄稿〉
委員長 國府勝郎
(首都大学東京・都市環境学部教授)
 わが国のコンクリート骨材の供給事情は、1965〜75年頃の高度経済成長期に、川砂・川砂利等の天然骨材の涸渇が顕在化するようになり、海砂や砕石・砕砂が主要なコンクリート骨材として使用されるようになった。しかし、砕石・砕砂の製造は環境保全との両立が困難な側面があり、海砂の採取はほとんどの地域で規制の方向にある。このような状況の中で、良質の骨材は全国的にその供給が逼迫し、また骨材品質は低下してきていると言われている。

JCI研究委員会

 コンクリート分野における骨材供給の事情は、今後さらに深刻化することが予測されることから、(社)日本コンクリート工学協会(JCI)に「骨材の品質と有効利用に関する研究委員会」(委員長・國府勝郎)を設置し、平成17〜18年度の2年間にわたって研究することとした。
 委員は、土木と建築、産・学・官などの研究者・技術者のバランスおよび所属地域を考慮し、委員のいない地域については通信委員をお願いした。また、骨材の使用者としての生コンクリート関連、日本砂利協会・日本砕石協会・石灰石鉱業協会等の骨材製造関連団体に参画して頂き、委員23名、通信委員6名の構成となっている。
 委員会の研究体制は、初年度としては、流通している骨材の技術的課題や品質規格に関して製造者および使用者へのアンケート調査等によって検討する「実態調査WG」(主査・河野広隆)と、骨材物性とコンクリート品質との関係を主に文献調査によってとりまとめる「性能評価WG」(主査・野口貴文)の2WGに分かれて検討することにしている。研究の進捗によっては、次年度に、骨材品質基準を新たに検討することも考えられる。

研究目標

 最近の骨材に関する研究は、海砂の塩化物含有量、反応性骨材、軽量骨材や各種スラグ骨材などの特殊課題や特殊骨材などに関連したものは多いが、通常骨材の品質とそのコンクリート品質に及ぼす影響に関するものは、ほとんどないように思われる。この委員会は、現状の骨材品質の実態に係わる課題を明らかにするとともに、骨材の品質項目のそれぞれがどのようにコンクリートの品質に影響を与えるか、またコンクリート品質の確保のための対策などについて検討し、骨材品質の変化によってコンクリートの性能が損なわれることのないよう準備することを狙いとしている。したがって、一般に使用される通常骨材の密度、吸水率などの物理的性質や粒度、粒形、微粒分量などを主な対象とし、研究実績の多い骨材の反応性(ASRなど)や塩化物含有量と鋼材の腐食などについては直接的な課題としないことにしている。

シンポジウムの開催

 委員会における検討資料を広く収集するため、コンクリート品質の確保のための対策や骨材の製造技術の工夫など、骨材使用者や製造者の苦労や努力の成果を発表して頂くシンポジウムを開催することにした。発表論文を公募したところ19編の応募があり、論文をその内容で区分すると、骨材の製造技術と品質(4編)、低品質骨材の研究動向・実態調査(3編)、骨材の品質とコンクリートの性能(4編)、骨材の混合使用(4編)、骨材微粉の有効利用(4編)となる。
 シンポジウムの開催日時は12月9日(金)10〜17時、会場は(社)日本コンクリート工学協会11階会議室で、先着順100名となっている。
 なお、研究委員会の成果は、委員会終了後の平成19年春頃にシンポジウムを開催し、ここで報告する予定である。

期待される成果

 研究委員会の成果としては、以下のようなことを期待している。
 (1)現行の骨材品質に関する規格値の意味を理解し、コンクリートのそれぞれの品質特性を確保するためには骨材品質の何をどのように制御するのが有効となるのかを検討する。また、骨材品質の規格値が検討された頃のコンクリート技術から、現在では相当に進歩してきていることを考えると、現在の技術水準を背景として規格値を見直すのがよいと考えられる項目もある。例えば、化学混和剤の発達はめざましいものがあり、砂の微粒分量の限度や砕石や石灰石骨材の微粒分量、もしくは0.15ミリふるいを通ものの質量は、適切な減水剤を活用する場合には緩和できる可能性があると思われる。このように、現在の技術水準を背景として、規格値の是非を見直すことが重要となっている。
 (2)物理的性質が品質規格値を満足しないような比較的低品質とされる骨材の活用方法、骨材品質項目ごとの水準とコンクリート品質水準との関係を明らかにしたい。これは、コンクリートの目的や構造物の環境条件によっては使用可能な骨材が存在する可能性が高いと考えられるためである。また、現在では、高流動や超硬練りなどの各種の新しいコンクリート工法も開発されており、コンクリートの配合によって骨材品質の低下をカバーできる場合もあると考えられる。コンクリートの使用環境条件によっては、現行の規格値を満足しない骨材を用いたコンクリートでも、満足な供用性能を発揮することもあり得る。このため、骨材の品質水準に応じて適用可能なコンクリートの種類や適用環境を明らかにしていくことが、資源の有効利用に寄与することとなる。
 (3)資源の循環と有効利用が先進国の重要課題となる中で、各種の副産スラグがコンクリート用骨材としてJIS化されてきたが、その普及は十分とはいえない状況にある。異種類の骨材の混合使用は、JIS A 5308の附属書では、混合前の骨材の品質が、塩化物量および粒度が規格値を満足しない場合に許容されている。この規格では、砕砂および各種スラグ骨材を混合使用する場合の0.15ミリふるいを通過するものの量を規定し、あらかじめ混合された骨材か、練混ぜ時の計量によって混合したものであるかを区分することによって、コンクリートの品質確保を図っている。そして、混合した骨材の種類とその割合を表示することになっている。しかし、粒度が適当でない天然の砂をスラグ細骨材と混合して使用することが、コンクリートの品質確保に寄与することが十分に認識されておらず、混合の実態が隠されている傾向がある。異種類の骨材を混合して使用することのコンクリートの品質を確保する上でメリットとなることを明らかにすれば、骨材資源の温存に寄与することができる重要な課題となっている。
 (4)また、標準粒度を満足しない天然の砂の粒度調整に、密度が大きなスラグ細骨材を使用する場合、現行の細骨材の標準粒度が適当であるかを検討することも課題であると考えている。天然の未活用の砂を粒度調整等によって使用すれば、スラグが発生する金属製錬工場等の近郊においては、適切な粒度の骨材を入手できることになる。各種スラグ骨材のJIS規格化によって、このような使用態勢は整えられているといえる。密度の大きなスラグ細骨材を用いた混合細骨材の粒度分布は、適切な粒度分布ならびに混合率のあり方を検討する必要がある。スラグ細骨材を粒度調整用の骨材として考える場合、コンクリートの単位水量やブリーディングなどの分離性状を考慮すると、標準粒度よりも細かい側で使用する方が適当である可能性がある。

まとめ

 現在の骨材規格は、全国一律の内容となっている。しかし、骨材供給の制約を解消し、経済的にコンクリート構造物を構築するためには、90分の運搬時間距離で規定されるコンクリートの納入地域の気象条件および出荷するコンクリートの種類・用途に応じて、骨材品質の規格値に自由度を持たせることも考えられる。骨材の流通・供給体制、適切な判断に裏打ちされた技術の行使を考えると、即時に規格改正することはできないが、このような骨材品質の許容範囲や使用方法に関する基礎資料を提示し、今後のコンクリート用骨材の方向性を考える契機にすることができればよいと考えている。

出典:アグリゲイト 2005年11月14日

このページのトップへ

採石コラム記事一覧業界情報インデックス

Copyright (C) 2005 Komatsu Ltd. All rights reserved. ご利用上の注意 | お問い合わせ | サイトマップ
HOME