KOMATSU
経営・技術イノベーションコマツ・ソリューション鉱山採石テクノロジ業界情報インフォメーション耳寄りリンク集

HOME > 業界情報 > SAISEKIコラム
業界情報
SAISEKIコラム 品質管理

耐久性重視の品管〜単位水量、乾燥収縮など
長期供用に寄与

 コンクリートの品質は長い間、圧縮強度で管理されてきたが、近年、構造物としての耐久性の向上に、より重点が置かれるようになったのを受け、単位水量や乾燥収縮といった分野にも品質管理の要素が拡がっている。
  日本建築学会はJASS5の改正で100年の長期供用構造物の乾燥収縮を800ミクロン以下に既定する方針を打ち出している。この取り組みには単位水量の場合と同様にコンクリート構造物の長期間の供用を考えた際の新たな品質管理の判定基準を構築していく姿勢がうかがえる。コンクリート構造物としてのより長期的(耐久的)な性状を考えた場合、圧縮強度よりも、コンクリートの水の量とこれとも関係する乾燥収縮率などをむしろ厳正に規定して管理する方が効果的という考え方は以前からあったが、実際の品質管理に適用されるケースはほとんどなく、もっぱら圧縮強度がコンクリートの現場品質管理の中心だった。しかし、昨今、コンクリートを含めた建設構造物の耐久性への不安が露わになるような事件が頻発し、日本建築学会、土木学会などの学術団体や、国土交通省、JR東日本などの構造物の管轄官庁らがそろって耐久性重視の品質管理の実施に動き出した、というのが、ここ6〜7年の傾向であった。そのなかの最大の主柱が単位水量の規定・管理で、これら管轄官庁の物件の生コン現場受入試験では単位水量測定が義務付けられるようになった。
  今回の乾燥収縮はこの耐久性確保という考え方をさらに一歩進めたものであるが、導入にあたっては様々な課題点も指摘されている。今回既定された乾燥収縮の条件に見合う骨材の確保がその中心的なもので、その分のコストアップが危惧されている。一方で膨張材や収縮低減剤なども効果があると目されている。
  すでにコンクリート用化学混和剤メーカーはポリカルボン酸系で高性能AE減水剤でありながら、乾燥収縮低減効果をも併せ持つ新しい製品を開発している。こうした製品は単位水量と乾燥収縮の低減を同時にはかることができるため、高品質・高耐久という点で有利な、付加価値の高いコンクリートの製造を可能にする。ただし、骨材と同様、コストもその分だけかかるため、これらのコストアップ分をいかに価格に反映させていくかが、課題となる。
  単位水量の低減は高強度、超高強度、そして耐久性といった様々な価値をコンクリートに付与するが、これらの技術に果たすコンクリート用化学混和剤の役割は大きい。
  また現場打ちの場合は高流動による現場施工の省力化、プレキャスト製品の場合は自己充填による型枠の微振動など、材料分離を抑止しつつコンクリートの流動性を高める工法にも混和剤は欠かせない役割を果たしている。こうした、コンクリート材料の付加価値についても、市場価格に適正に反映されることが期待されている。

フジタ/コンクリで中性子遮蔽、医療施設に実用化

 フジタは、中性子遮蔽性能が高く、無収縮型の多機能低放射化コンクリートを実用化し長野市内の医療施設で適用している。
  一般に加速器施設やPET施設(がん検診などに用いる陽電子放射画像診断装置)は放射線を発するため、装置の規格仕様に応じた重厚なコンクリート遮蔽体で囲われるが、普通コンクリートでは中性子でコンクリートが放射化され、放射線が長期間にわたり残留放射能として存在することで、メンテナンス時に作業員が施設内に立ち入ることができないという問題を抱えていた。また、放射能の蓄積量がクリアランスレベル(しきい値)を超えるものは放射性廃棄物として分類されるため、廃止措置時に莫大な解体撤去、処分費用が発生するという問題もあった。
  今回フジタが開発した無収縮型多機能低放射コンクリートは従来の低放射化コンクリートに対して、高い遮蔽性能を持つボロン化合物を特殊混和材として添加し、中性子遮蔽性能を向上させた点が特徴的だ。セメント、骨材などの原材料についても放射能発生物質の生成が少なくなるものを選定している。また、高い遮蔽性能により遮蔽体の厚さを40%低減できるため、医療施設としての有効な面積を多く確保できるなどのメリットがある。
  適用された物件は「長野PET・画像診断センター」新築工事(長野県若里)。サイクロトロン施設の床部分に300〜500mmの厚さで打設された。製造は現場から20〜30分圏内の生コンプラントで行い、製造量は6m3。そのうち3m3を実際に打設した。また、今回は配管が多いなどの条件から現場打設方式を採用したが、プレキャストコンクリート(PCa)での施工も可能。

プレキャストの施工も可能

 同社は長年培ってきた低放射化コンクリート技術に今回発表した技術をオプションの一つとして追加し、あらゆる施設、条件、要求性能に対しても対応できるようなかたちで低放射化コンクリートを提案していく。

鹿島/上部工にサクセム採用、橋脚の耐震性能を向上

 鹿島は、橋脚部分に制震ダンパーを用いて、地震時の慣性力を低減する新しい制震橋脚構造「ハイフレッド(HiFleD)橋脚」に超高強度繊維補強コンクリート「サクセム」を組み合わせて採用し、耐震性が高く低コストの歩道橋を実現している。同橋脚構造は新潟県長岡市の商業施設の歩道橋に適用。サクセムは歩道橋の上部工の桁に採用されている。
  同物件では建物の2階の床上高と道路上の建築限界との関係で歩道橋の桁高に制限があるなどの課題があった。そこで部材を極力薄くする目的で、上部工の桁にサクセムを採用した。サクセムはセメントと特殊混和剤を含むプレミックス結合材、細骨材、特殊鋼繊維、減水剤、水で構成されており、水結合材比は15%程度で化学的に緻密化された硬化体を形成し、設計基準強度180N/平方mmという高い圧縮強度、耐久性を誇る。また、特殊鋼繊維の混入により高い引張強度とじん性を得られるため、鉄筋の配置を不要としているのが特長。サクセム桁は運搬上の制約から5分割して工場で製作し、現地でセグメント同士の目地部(5cm)に間詰めサクセムを打設した後に、外ケーブルPC鋼材でプレストレスを与えて一体化している。サクセムを採用することで、桁高は50cmまで薄肉化され、上部工の重量が軽量化したことで、下部工の極小化を可能にした。
  ハイフレッド橋脚は、連続ラーメン橋の耐震性向上を実現する新構造で、橋脚部材を細い4本のコンクリート柱で構成し、その間に鋼製トラスと制震ダンパーを設置した組柱構造となっている。橋脚の組柱構造が柔構造となり、その揺れを制震ダンパーに吸収させることで地震時の慣性力を3割程度低減できる。制震ダンパーには同社のハニカムダンパーを採用。ハチの巣型にくり貫いた板状ダンパーで揺れのエネルギーを吸収し、地震時に生ずる柱の損傷を低減する。中規模地震を数回経験しても減衰性能を維持できるため、地震後の復旧が容易である。
  同社は今後、ハイフレッド橋脚の高耐震で低コスト、地震の被災後に復旧が容易という特長を活かし、道路橋(橋脚高15-50m)への適用を目指し積極的に技術展開を図る。サクセムについても今回の物件で技術的な知見が得られたことから、橋梁だけではなく高強度、高耐久性が要求される構造物へ適用拡大を図っていく方針だ。

出典:コンクリート工業新聞 2008年2月21日

このページのトップへ

採石コラム記事一覧業界情報インデックス

Copyright (C) 2008 Komatsu Ltd. All rights reserved. ご利用上の注意 | お問い合わせ | サイトマップ
HOME