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SAISEKIコラム 品質管理

乾燥収縮/生コン・設計・施工、複合的な対策が必要

日本建築学会がホームページに公開した建築工事標準仕様書・同解説JASS5(鉄筋コンクリート工事)の改正草案によると、計画供用期間が長期・超長期の級(100〜200年。特記なし)の場合のコンクリートの乾燥収縮を「800μ以下」と規定している。現在の流れからすると、規定化が見送られたり、基準値が緩和される可能性は極めて小さく、設計者、施工者、生コン生産者はその対応を求められることになりそうだ。乾燥収縮は粗骨材の性質が重要な要素となるが、骨材事情は地域によって千差万別。骨材だけで対応できない地域では、設計、施工、生コン(材料)各段階における複合的な対策が迫られる可能性がある。

乾燥収縮の基準値が土木学会の07年版コンクリート標準示方書に盛り込まれ、日本建築学会も来年2月に改正するJASS5に盛り込む予定。日本建築学会・近畿支部は、設計から製造、施工まで各段階の対策を網羅した「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ対策」を刊行した。一方、ゼネコンはこの1〜2年、抜取試験やアンケートにより生コン工場の乾燥収縮のデータ収集を進めている。

生コンもデータ収集

規定化やゼネコン側の動きを受けて、生コン生産者側も自社製品の乾燥収縮の把握に動いており、中でも首都圏や関西圏で先行している。組合単位でも東京都生コン工組や東京地区生コン協組などがWGを設置してデータの収集・分析に取り組んでいる。全国生コン工業組合連合会は技術委員会にWGを新設し、データ収集を開始するとともに、生コン組合が運営する認定共同試験場における乾燥収縮試験の認定項目化や迅速試験方法の開発に着手。認定共同試験場では宮崎や岩手などが乾燥収縮試験設備を整え、受託業務を開始した。
大手ゼネコンのデータによると、生コンの乾燥収縮は400μ台から1000μを超えるものまで大きな幅がある。また、三多摩生コン協組がこのほどまとめた試験結果によると、硬質砂岩系砕石(5産地)を使ったコンクリートの乾燥収縮は500台から800μと幅があり、その最大差は276μだった。その要因は、粗骨材の性質というのが一致した見解だ。

岩種だけで予測不能

ただ、乾燥収縮の大小は「岩種だけでは予測できない」(大手ゼネコン)。同じ岩種でも産地によって差があり、また、同一産地でも層によって変動する。これは硬質砂岩系や安山岩系などに限らず、石灰岩系も同じ傾向。石灰石砕石を使ったコンクリートでも「1000μ近いものもある」(同)、「上下200〜300μくらいの幅がある」(セメントメーカー)という。
三多摩協組の試験でも、硬質砂岩系砕石の中では、石灰石砕石50%混合に相当する小さい値を示したものもあった。その要因は特定されていないが、「乾燥収縮ひずみに影響の少ない岩質の混入または岩質の可能性がある」。これまでの試験はゼネコンも生コンも一般にスポットで行われており、単発データだけで必ずしも乾燥収縮の大小を決め付けられない。ここに、この問題の難しさがある。
とはいえ、これまでのデータでは、岩種の中で石灰石砕石の乾燥収縮が総体的に小さい。ゼネコンは「低減対策では骨材の変更が最も手っ取り早い」と指摘する。ただ、石灰石砕石のシェアは全体の1割に満たず、生産・供給能力、供給範囲が限定されていることから、今後、これが飛躍的に増大する可能性は小さい。

全体で下げる取組み

骨材だけで対応できない地域では、膨張材、収縮低減材、あるいは収縮低減型高性能AE減水剤といった低減材料の併用を考える必要性でてきそうだ。高ビーライト系セメントと膨張材の組み合せも効果的とされる。ただ、「結合材や薬剤だけですべてをカバーできない。例えば、900μを800μに下げる場合は有効だが、1000μを超える場合は難しさを伴う。いずれにせよ収縮が小さい粗骨材を使うことが基本になる」(セメントメーカー)。
そのため、生コン生産者側としては材料・配合見直しなどにより低減効果を高め、設計、施工各面でも必要な対策を講じ、それぞれの融合を図りながら全体で乾燥収縮を下げていくという取り組みが必要になる。「JASS5で乾燥収縮が規定化されると、設計事務所は供用期間の短い、長いにかかわらず800μ以下を指定する可能性がある」(同)と基準値が一人歩きする懸念もあり、示方書やJASS5がいかに適切に運用されるかもこれからの焦点になる。

出典:コンクリート工業新聞 2008年7月24日

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