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石灰石鉱業大会特集〜高品質の石灰石、ニーズ高まる

石灰石鉱業協会は、5月15−19日、都市センターホテルで第66回石灰石鉱業大会を開く。昨今の石灰石業界を取り巻く環境が好転している。鉄鋼業界が好調を維持しつつ、セメント需要の復調、コンクリート用の細骨材としての需要増大が主な原因だ。特にコンクリート用細骨材は、瀬戸内海の海砂の採取禁止に加え中国政府が3月に砂の完全禁輸を実施したことで、代替材の需要が出てきている。石灰石砕砂の増産体制などについて、石灰石大手5社に今後の動向などについて聞いた。

【三菱マテリアル】
九州工場 150万体制へ〜砕砂事業仕切り直し

 三菱マテリアルは九州工場内で行っている石灰石砕砂事業を中期経営計画(2007―09年度)の間に150万トン体制とする検討を進めている。九州工場の砕砂事業は04年にスタート。昨年4月の中国砂禁輸が発表後に引合が急増し、06年度の出荷は生産能力一杯の84万3000トンで、中原宏・鉱産品部長は「厳しい操業だった」と振り返る。このため、3月に生産能力を50%アップさせて120万トンの体制とし、今年度の出荷は105万トンと想定している。今後の増産体制は、市場調査を行ってから決めるが、増産設備建設時にはサイロ(1500トン)を3本新設して計6本とするほか、サイロの補助的な役割を担うストックヤードも整備し、出荷能力も増強する。中原部長は「昨年度はユーザーの引合に全て応えられず、拡販にまでは到らなかった。九州工場での砕砂事業を仕切り直す」と語っている。市場調査の結果から第1四半期中に結論を出す方針だ。
 また、長坂鉱山も昨年4月から砕砂事業を開始し、4万2千トンを出荷した。09年度までに年間10万トンの出荷体制を実現し、東谷鉱山・九州工場・長坂鉱山で行っている砕砂事業を年間170万トン体制にする方針だ。
 また、豊富な石灰石を確保するため、北九州地区において住友大阪セメントとの共同開発の準備を進めているが、一方で東谷鉱山では昨年10月から立坑・破砕室の深部化工事に入った。また、出荷基地となる九州工場でバースの延長、浚渫など港湾の整備も計画しており、共同採掘事業が始まる11年度までに1万トン超クラスが入船できるようにする。
 一方、同社はグループ会社の再編も進めた。宇根鉱山を運営する菱光石灰工業が砕石業を営む菱鉱建材を4月1日に吸収合併した。また、菱鉱建材八王子事業所の販売は三菱マテリアルの鉱産品部が行っており、かねてより製販一体化を模索していたこともあり、鉱産品部東京営業所の一部も併せて一体化した。中原部長は「菱光石灰工業の年間生産量300万トンのうち、三分の一はコンクリート用骨材。菱鉱建材も菱光石灰工業も東京・神奈川を主体とした販売エリアで、砕石事業の観点からすると砂岩の骨材、石灰石の骨材の製販が一体化でき、効率的な事業運営ができる」と語る。菱光石灰工業は4月1日に砕石事業部を設置し、首都圏の砕石事業を一本化させた。
 コスト削減では昨年7月から東谷鉱山で日本初のアンホ爆薬のサイトミキシングを導入した。これにより、火薬費を三分の二に削減したほか、省力化も実現している。この事業は石灰石鉱業協会から最優秀功績賞を受賞し、今年の石灰石鉱業大会で成果を発表する。
 06年度の石灰石生産量は6.8%増の1488万3千トンだった。東谷、長坂、宇根の三鉱山共に前年度実績を上回った。18年度の鉱産品販売実績は5.5%増の1073万7千トン(石灰石含む)。このうち骨材が7.3%増の971万トン。現場向け、道路向けは減少したが、コンクリート・二次製品向けは9.4%増の870万5千トンだった。自社生産品の石灰石砕砂事業が増えたほか、砂岩などの通常砕石の取り扱い数量増が押し上げた。

【日鉄鉱業】
3鉱山で砕砂設備増強〜羽田工事 物流費高騰が課題

 日鉄鉱業の2006年度の石灰石生産量は前年度並の2578万2千トンだった(直轄五鉱山〈鳥形山、尻屋、大分、井倉、東鹿越〉、葛生鉱業所、関係会社の船尾鉱山を含む)。津久見鉱業所を昨年4月体制変更し大分事業所に改組、計画減産したが、鳥形山の増産でこの分のマイナスをカバーした。
 販売量は前年度並の2577万1千トン(葛生・船尾を含む)。このうち、鉄鋼向けは768万4千トンで、今年度もこの水準が維持される見込み。また日本の石灰石は高品位であることから、海外の鉄鋼、非鉄業界などからの引合も多くなっている。セメント向けは2.8%増の795万5千トンだった。当初は減少予想だったが、予想以上に民需が堅調だったため。今年度もほぼ横ばいとみている。
 コンクリート用石灰石骨材販売量は0.6%減の633万8千トンだった。セメントと同様に民需が旺盛であるほか、石灰石骨材を使用したいという一部ゼネコンの動きもあるので今年度も堅調に推移する見込みだ。また、同社は瀬戸内海の海砂採取規制、中国砂の禁輸など細骨材不足に対応した設備投資を行い、今年中に生産能力60万トン程度を増強する計画だ。
 まず、大分事業所では、隣接する他社鉱山と石灰砕砂の共同事業を行うために設備投資を行い、5月からの稼動で年間30万トンの出荷を予定している。尻屋鉱山でも5月に年間22万トンの砕砂設備が完成予定となっている。尻屋鉱山近くの大間地区で今年度から建設される原子力発電所の需要に対応するため。この原発工事は4年先まで需要が見込まれるほか、将来的には、これ以外にも原子力関連工事が計画されており、当面は原発関係向けに出荷していく。
 また、鳥形山鉱山では今秋に砕砂製造設備を増設する。同鉱山から首都圏に粒度調整用の粗目砂を約15万トン供給する予定。これらの砕砂設備導入で今年度は30万トン強の出荷増を見込んでいる。
 同社が懸念しているのは羽田空港の拡張工事に伴う輸送状況の変化である。同社は三年前から骨材の価格改善に着手、原油高による山元コストとフレートの上昇を訴え、首都圏では一定の成果を収めてきている。ただ、羽田空港再拡張工事の影響で首都圏では、物流費上昇が懸念されている。宮城部長は「当社は鳥形山から専航船を軸に輸送しているが、ユーザーの受け入れ条件に合わせて小型船舶の傭船も行っている。近年は船舶数が減少するなど傭船相場が上昇している。また、葛生鉱業所はダンプ輸送に頼っているので、ダンプが確保できないと出荷不可となる。今後も輸送体制を見極めて(値上げなどの)対応をしていく」と語っている。 同社は中国の大連近郊の長興島に石灰石鉱山を保有しており、鉱山周辺で年間20万トン弱のコンクリート用骨材を販売している。同地区は経済特区として開発中で、今後の骨材需要の増大が期待されている。


【住友大阪セメント】

コンクリート用骨材の販売拡充〜年間100万トン出荷体制

 住友大阪セメントは、外販事業の拡大とその基盤の整備、鉱量の長期安定確保、保安確保とコスト削減、の3つの方針を掲げ、08年度を最終年度とする中期経営計画に取り組んでいる。
  外販事業で大きな役割を担う同社唯一の臨海鉱山である秋芳鉱山では新鉱画を開発中で、来年度下期末には同時に二系列の新立坑破砕設備が完成し、採掘を開始する予定だ。また、今年度中にコンクリート用骨材の生産能力の向上と貯鉱設備の拡充を計画中。同社はこれを主に山陰地区、首都圏向けに振り向け、秋芳から安定的に年間100万トン出荷できる体制を目指している。
  05年に石灰石から輝緑凝灰岩への岩種変更した栃窪鉱山(イナサス)では、周辺で天然砂から砕砂への切り替え需要が出てきており、砕砂の製造を検討中だ。多賀鉱山(滋賀鉱産)は路盤材を中心に出荷しているが、今後は砕石原料の原石販売にも力を入れる。
  鉱量の確保では、同社の小倉鉱山は三菱マテリアル東谷鉱山と共同開発事業を進めている。現在、同社の新しく採掘する区域について環境アセスメントを実施するとともに、地元住民への周知、説明を進めており、2011年度から採掘を開始する予定。加賀久博・鉱産品事業部長は「共同開発によって小倉鉱山は臨海鉱山の形になる。(秋芳鉱山の)仙崎港バースしかなかった当社にとって、もう一つ苅田港のバースを活用させてもらえるのは大きい。共同開発で自社セメント工場への安定供給と資源の有効利用を両立できる」と語る。同社は秋芳鉱山の年間生産量、800〜820万トンを維持しながら11年度までに新たな外販先を開拓する方針。
  また、鉱山の保安状況では保有する八鉱山で2年間、無災害を継続している。今後もさらに自主保全体制の徹底や本社の監査・保安マネジメントシステムを充実させる考え。一方、秋芳鉱山では四月から180トン積無人ダンプ2台の操業を本格的にスタートさせた。今後、各種データ収集を積み重ねて更なる安定操業、コスト削減を図る。
  同社の06年度の石灰石販売は出荷銘柄に偏りがでたため、前年度比3%減の485万トンだった。粉体事業は好調で、電力向けのタンカルが6万トン強だったほか、建材向けの珪石粉は7万トン強と過去最高だった。今年度の出荷は、石灰石、粉体は微増、コンクリート用骨材が漸増すると想定している。
  一方で石灰石を取り巻く環境は原油高騰や船・ダンプ運賃の高騰で厳しさを増している。鉄鋼向けはFOBでの販売だが、コンクリート用骨材向けはCIFでの販売となっている。06年度末の値戻しでも成果を得たものの「輸送費への還元がメインで品代はほとんど横ばい。原油高騰の影響等でむしろ以前よりも厳しい」(加賀部長)という。今後首都圏では、羽田空港拡張工事の影響で船・ダンプなど物流費の高騰が懸念されており「輸送費が高騰すれば、この分をきちんと転嫁していかなければいけない」(同)としている。

【太平洋セメント】
津久見で砕砂を100万トン〜グループ経営の強化進める

 太平洋セメントは津久見地区の石灰石砕砂生産体制を年間100万トンに増強した。同社はこれまで、瀬戸内海の海砂採取禁止に備え、05年度までに子会社の津久見鉱業(現在は大分太平洋鉱業の子会社)で年間74万トンの石灰石砕砂生産体制を整えていた。ただ、昨年度中に中国砂が禁輸され、西日本で石灰石砕砂の需要が急増、フル生産でも供給できない状態が続いていた。このため、津久見地区で隣接する他社鉱山と連携し、砕砂を造る共同事業をスタートし、新たに年間30万トンの石灰石砕砂の増産体制を整えた。これで津久見地区の石灰石砕砂供給量は年間100万トン体制となった。このほか、相生資源開発社でも04年以降に砕砂生産体制をとり、年間50万トンの砕砂を販売している。北村一成取締役専務執行役員(資源カンパニープレジデント)は「西日本では細骨材の逼迫が続いており、今回の津久見地区での共同事業はこの第1弾」と語っており、同社は需給バランス次第ではあるが、津久見地区でさらに数十万トンの増産を検討中である。
  同社の2006年度の石灰石生産数量は4777万トン(関係会社含む)だった。このうち、セメント向けが2976万トン。骨材(コンクリート用、道路用)は948万トン、鉄鋼向けが452万トン、その他(生石灰、タンカルなど)が417万トンだった。今年度の生産もほぼ横ばい想定である。
  石灰石を含む骨材の販売数量は、船・ダンプなどの物流がタイト化してきたため前年比4.9%減の2016万トンだった。このうち、粗骨材が1085万トン、細骨材が745万トン、仕入れ品のスラグ砂が88万トン、その他(路盤材、埋土材など)が98万トン。今年度も昨年度並みを想定している。
  一方、値戻しは遅れている。この数年の値戻し活動で、成果を挙げてきたものの、原油高などによる物流費の高騰のスピードに追いついていないという。このためユーザーに「これまで以上に強く値戻しを訴えていく」(北村専務)と語っている。鉄鋼向け・骨材の値上げは一応の成果を上げて以前の製品価格水準に戻ったものの、引き続き原油高騰などによる原価上昇分の転嫁及び安定供給のための再投資コスト費用の価格アップを行っていく方針だ。
  こうした国内での生産能力増強に加えて、東アジアを中心とした海外資源の活用を検討している。現地事業の供給ソースは、現地で調達するよう石灰石や珪石の供給拠点調査を行っており、各地で資源の品位や物流体制などの条件を確認してきた。また、国外(日本向け含む)への輸出拠点として、砂・高機能フィラー・磁鉄鉱等の資源調査も実施している。今後もさらに様々な海外資源の事業化に向けて調査を継続していく。
  また、同社は07中期経営計画推進の中でグループ経営の強化を行っている。その一環として、津久見地区では昨年、効率的な生産、出荷体制を構築するため、大分太平洋鉱業を設立した。大分太平洋鉱業は昨年10月から願寺鉱山(大分鉱業所)と津久見鉱山(津久見鉱業)を統合した新津久見鉱山の運営を行っている。鉱量が少なくなっていた西多摩鉱業所は、今年度上期中に砕石の生産をやめる。その後同所は建設残土の受け入れによる採掘跡地復旧に特化していく予定である。更に、選択と集中を加速するため、資源事業カンパニーのグループ会社の統合及び解散・清算・売却等を実行し、数社削減することを検討している。
  近年、石灰石安定供給のための、鉱山関連の設備更新が集中している。峩朗鉱山で昨年から一号立坑の再開発工事に入ったほか、今年度から大分太平洋鉱業(旧願寺鉱山)で第一立坑、明星セメントの田海鉱山の立坑更新工事を行う予定である。

【宇部興産】
伊佐鉱山で水洗設備導入〜セメントに匹敵する基盤構築

 宇部興産の06年度の石灰石販売数量は前年度比2%増の610万トンだった。このうち鉄鋼が110万トン、生コンが200万トン、宇部マテリアルズが270万トン、その他30万トン。生コンと宇部マテリアルズ向けがそれぞれ5万トン増えた。売上高は5%増、営業利益は16%増と増収増益だった。昨年2月に千葉石灰石センター内に設置した石灰石の水洗設備により、約1億円の収益改善ができた。また、台風が少なかったため船の稼働率が上がったことも好業績に影響している。一方、昨秋からの旺盛な骨材需要に対し輸送船舶にはタイト感があり、東京湾岸地区の骨材在庫は低レベルでの推移となっている。07年度に入り、骨材の在庫水準は更に厳しさを増している。
 07年度の販売数量は鉄鋼、骨材向けが前年度並み、宇部マテリアルズ向けが5万トン増の、615万トンを想定している。
 宇部興産は今年度から3か年の中期経営計画(中計)をスタートさせた。この中計の間に関係会社である宇部マテリアルズを含めた石灰石関連事業を「(建設資材カンパニー内で)セメント事業に匹敵する経営基盤を構築する」(仁専三千男建設資材カンパニー資源事業部長)方針だ。実現のために3つの方針を掲げて行動している。その1つが骨材価格の改善だ。
 骨材価格は道路交通法改正後に下落が続いたため、同社は04年度から継続的に値上げに取り組んで成果を挙げてきた。ただ、同時期に原油高も進み「多くは物流費(船舶燃料費)に充当せざるを得なかった」(仁専事業部長)という。今年度以降も値上げ活動を継続し、製品価格を道路交通法改正前の水準と同レベルにしたい考えだ。今後の懸念材料は羽田空港拡張工事による物流費の高騰である。物流費次第で「目標価格にプラスアルファが必要になってくる」(仁専事業部長)とみている。一方、鉄鋼向けの値上げは4年連続で有額回答を得た。
 2つ目の方針は関連会社、宇部マテリアルズとの連携強化である。宇部マテリアルズは同社が石灰石を年間270―280万トン販売する最大のユーザーである。連携を強化することにより磐石な石灰石コンプレックスを構築する。
 3つ目は合理化によるコスト削減だ。同社はこれまでもコスト削減に取り組み、03年に3万トンの大型船を廃船として固定費を削減したほか、前述の千葉石灰石センターでの水洗設備により、物流・生産面も合理化した。さらに今年度は伊佐鉱山で石灰石の水洗設備を導入する。
 伊佐鉱山では、高品位石灰石を外販用、低品位石灰石をセメント用に分別している。水洗設備の導入で低品位石灰石から骨材を年間50万トン生産する。現在、高品位石灰石から製造している骨材の一部を置き換えるため、需要家の新規開拓は行わない。今回の水洗設備について「この設備の導入で(骨材の)品質を維持しながら、鉱山の最適採掘、安定操業ができる」(仁専事業部長)と語る。水洗設備は来年初頭から営業運転を開始する予定。

 
 

出典:コンクリート工業新聞 2007年5月10日

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