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SAISEKIコラム リサイクル

砕石粉の有効利用に向けて
<寄稿>群馬大学工学部教授 辻 幸和

 砕石や砕砂を乾式方法で製造する際に副産される砕石粉の有効利用が模索されている。有効に利用できると、処理費用の軽減ができ、乾式方式への転換が大規模に図られるとともに、環境に優しい製造形態になる。品質の制御された砕石粉を、湿式工程で製造される砕砂、海砂、高炉・フェロニッケル・銅・電気炉酸化の各種のスラグ細骨材などに微粒分として置換して積極的に使用することが考案されている。また、フライアッシュや高炉スラグ微粉末などと同様に、混和材として利用するのである。高流動化や高強度化といったコンクリートの品質を向上させる可能性が秘められている。

ブリーディング低減に有効、単位水量は増加せず

砕石粉の品質
  表-1「砕石粉の品質」に示すように、砕石粉は粒度が75μm以下と定義している。75μmより小さい篩を通過させることは、通常の生産工程では難しいためである。
  75μmの篩いを通過するものは、微粒分であり、これまでの知見では、この微粒分の量はできるだけ少なくすることが望ましいとされていた。これは、コンクリートに悪影響を及ぼす粘土分などを減らしたい理由のためである。そのせいで、微粒分は邪魔者、悪者になっている。またこの微粒分、ここでは“砕石粉”は、砕石や砕砂を製造する粉砕工程の中で一番細かいものであり、エアーセパレーター等の改良により分離が容易になり、砕石粉の処理・処分が乾式の製造方式の大きな課題となっているものである。この捨てていたものの有効利用を図るのである。

項目 規定値
湿分
1.0以下
密度 g/cm3
2.50以上
フロー値比
90以上
活性度指数(材齢28日)
60以上
75μmふるい残分
5以下
メチレンブルー吸着量 mg/g
10.0以下
表-1 砕石粉の品質

乾式製造の砕石粉に限定した理由
  湿式の場合は生産工程では凝集剤を使用するため、これがコンクリートの品質に悪影響を及ぼす可能性があるためである。現段階では乾式に限っているが、今後、凝集剤の特性が明確になっていけば、湿式からの砕石粉も使える可能性はある。
  しかしその一方で、砕石粉を副産させる砕砂の製造形態の主流が、微粒分の問題が解決すると乾式に移っていく可能性が大きいのである。

砕石粉と細骨材との置換量
  用途によって置換量は異なる。砕石粉の置換量の上限を60キロ/m3とした実験結果がある。用いる原石や粉砕の方法(砕石粉を製造する工程)などの影響もあるため、置換量の定量的な上限値は、今後のデータの蓄積を待ちたい。

砕石粉で細骨材の一部を置換したフレッシュコンクリートの品質向上
  高性能AE減水剤などを使わない普通コンクリートで、比較的強度が低く、かつ高スランプのコンクリートなどへの適用に効果が著しい。
  普通コンクリートでもスランプが高いとブリーディング量は多くなるが、高スランプの生コンクリートを製造する場合に細骨材の一部を砕石粉で置換すると、単位水量が増えずにブリーディングを低減できることが確かめられた。この点が、砕石粉の有効利用のセールスポイントである。
  細骨材と置換して細粒分が多くなれば表面積が増えるため、水量が増加すると思われがちである。しかしながら、砕石粉を使用してもコンクリート中の単位水量がほとんどほど増えることはない。これは粒度を細かくしたことで、水量を必要とする粒子表面の角張りの悪影響が少なくなったためと考えられる。この効果は、原石の品質や種類、破砕や製造の方法で異なることが予想できる。

微粉末効果で強度増、普及に向けJIS化目指す

砕石粉を使った硬化コンクリートの品質
  砕石粉で置換したコンクリートは、その微細な粒子が「微粉末効果」を生じるため、強度が増加する。これはセメントの中には混和剤を添加しても水と反応しない、つまり完全に凝集が解けないセメントが残っている。そこに微粉末の粒子が割って入ってセメントを分散させ、この未反応のセメントを水と反応させるため、強度が増す。これが「微粉末効果」のメカニズムである。このため、コンクリートの初期強度が特に高くなる。それが図-1「コンクリートの圧縮強度比」にも現れている。特に初期の圧縮強度は、砕石粉を置換していない基準供試体と比較すると、原石の種類にかかわらず増加している。
  また中性化に強くなる。コンクリートの組織が、緻密になっているためである。
  なお、乾燥収縮と凍結融解作用の抵抗性は変わらないことを、確かめている。

図-1 コンクリートの圧縮強度比

砕石粉の商品化
  砕砂には微粒分の制限がある。JISで砕砂の微粒分量の限度は7%と規定されているため、ユーザーである生コンクリートなどの製造側ではなるべく微粒分が少ない方が、品質管理を含めて良いとしている。しかし、発想を転換して考えてみれば、この微粒分に当たる部分の砕石粉を、商品としてきっちりと管理すれば、用途は多いと思う。

砕石粉を普及させる方法
  生コンクリートや工場製品の製造側はJISマークを重視するため、砕石粉の品質を先ずJISとして規格化することが必要である。さらに、生コンクリートや工場製品の使用材料の中に盛り込めれば、製造側も多種多様な用途を考えられて適用範囲も広がり、使用量も増える。逆に言えば、JIS化されなければ、発注者や生コンクリートと工場製品の製造側に使用してもらうのは難しいだろう。
  日本コンクリート工学協会が原案作成団体となって、2002年に公表されたのがTR(標準情報)A0015「コンクリート用砕石粉」である。これをベースにして実績を積んでいけば、JIS規格化も可能である。
  これまではこのTRに対するフォローアップが少なく、本年7月で有効期限を迎える。
  このため、TR(現在はTSに変更されている)として一度延長して、これをJIS化するために日本砕石協会が中心となって、研究開発を実施している。全国の工場において砕石粉がどの程度どのような製造方法で製造されているのか、品質的なばらつきはどのくらいなのかといったデータの蓄積を行っていると同時に、それらの砕石粉を使用したモルタルやコンクリートの実験も実施している。そういった全国規模のデータを集めて、JIS化の作業を進めてもらえれば、大学や研究機関・研究所の研究者や技術者も興味を持って研究開発を行うことになるであろう。

最後に
  砕石粉は非常に興味深い材料である。
  確かに、砕石粉を製造する側には、製造設備をより良い方法に改善・改良してもらうなど、砕石粉の製造に手間をかけさせることになる。しかしながら、使用範囲は拡がり、これまで捨てられていた砕石粉が有効利用できるようになれば、資源の有効利用や製造コストの低減などのメリットは非常に大きいといえる。

出典:セメント新聞 2005年5月23日

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