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SAISEKIコラム リサイクル

砕石スラッジ再資源化技術の開発〜
-100%産廃原料の再生路盤材の開発-日本文理大学工学部建設都市工学科 教授 三浦 正昭
砕石汚泥の歴史的動向と現状

 昭和40年に入った頃、思い返すと著者は大学生の時代で、卒業研究から引き続き大学院でコンクリート工学を専攻していたが、西日本を中心に「砕石」の使用が増加し始めたように記憶している。著者も従来の砂利コンクリートと砕石コンクリートの性質の違い、特に「単位水量」との関連について実験研究したことが懐かしく思い出される。また砕石の使用に伴って、当時は「石粉」(いしこと呼んでいたように思うが)、「砕石汚泥」に関しても数人の研究者が研究に取り組んでいた。ただ、当時としてはマイナーな研究分野で、ほとんど世間の注目を浴びることはなかった。そのような時代背景の中で、砕石汚泥の研究に取り組まれた先達の先見の明には心からの敬意をはらいたい。
  このように砕石の使用とほぼ時を同じくして始められた砕石汚泥の再資源化に関する研究は、周知のごとく、「乾式方式」で発生するものはTR A0015「コンクリート用砕石粉」としてJIS化の方向にあり、コンクリート用混和材としての利用を目指して検討がなされている。しかし、全体の発生量から見れば、乾式方式のものは砕石製造の際に産出される砕石微粒分の3分の1程度で、残りの大部分は「湿式方式」で「脱水ケーキ」と呼ばれる砕石汚泥である。この水を含んだ脱水ケーキは現在でもほとんど未利用のままと言っても過言ではないであろう。そういう背景から、著者は砕石汚泥に関する研究テーマは「古くて新しい研究テーマである」と常々言ってきているところである。
  ただ近年、各建設機械メーカーが、この建設汚泥をはじめとする各種汚泥を固化する機械装置を開発して市販し始めている。この場合、汚泥を固化する方法は、地盤の安定処理の場合と同様に、セメントや石灰を固化材として用いる方法が一般的である。
  特に砕石汚泥は産業廃棄物の分類では「汚泥」に分類されることから、廃掃法上「管理型最終処分場」への搬入が義務付けられている。しかし、膨大に発生する脱水ケーキ(砕石汚泥)を管理型最終処分場に持ち込むとすれば、今でもひっ迫している最終処分場の残存容量を大きく圧迫し、廃棄物処理行政に支障をきたすことになる。そのために、砕石汚泥に関しては、ある定められた処理を行ったものについては、発生した採石場内に限って埋め戻すことを容認している。
  しかし、日本コンクリート工学協会(JCI)の「骨材の品質と有効利用に関する研究委員会」が05年12月に実施した骨材生産者に対するアンケートによると、「骨材製造における懸案事項について」との質問に対して、約半数が「懸案がある」と回答。懸案事項としては「微粒分(微粉)の処理」が圧倒的で、「有効活用したい」との意見が寄せられている。もはや砕石汚泥の自社内での処理が限界に来ていることをうかがわせるアンケート結果となっている。
  以上のように、砕石汚泥をとりまく環境は非常にひっ迫しており、砕石汚泥の再資源化は喫緊の課題として取り組まなければならない状況にあるといえる。
  著者らは、砕石汚泥を低コストで再資源化(リサイクル)するシステムを構築したので紹介する。
  なお、本開発研究は06、07年度2カ年の補助事業である「大分県循環型環境産業創出事業」として行なっているものであり、今回は前半の06年度に得られた知見の一部を紹介する。後半については機会があれば稿を改めて報告したいと考えている。

砕石スラッジ再資源化システムの構築について

1.砕石スラッジについて
 砕石製造の際に発生する微粒分は、一般に乾式方式の場合は「砕石粉」、湿式方式の場合は「脱水ケーキ」と呼ばれている。後者は水を含む泥状のため砕石汚泥とも呼ばれ、産廃分類上「汚泥」として取り扱われている。本報においては、この脱水ケーキ、すなわち「砕石汚泥」を字句から受けるイメージを考慮して、以降「砕石スラッジ」と呼ぶことにする。本報で紹介するものは、この砕石スラッジの再資源化についてである。
  さて、砕石の生産量は経済産業省砕石統計年報(06年)によると、約2億6000万トンで96年の約4億3000万トンから10年連続で減少している。06年度において、2億6000万トンの砕石の製造に伴って発生する「砕石の微粒分」(砕石粉と砕石スラッジ)の量はいかがなものであろうか。勉強不足で申し訳ないが、砕石の微粒分の発生量に関する統計データがあるのか否か確認できなかった。
  既往の文献等を見ると、砕石微粒分の発生量は96年7月の「コンクリート工学」の大竹氏の報告によると「10%とすると」という表現がなされている。また00年11月の「コンクリートにおける産業廃棄物利用研究委員会報告書」(JCI九州支部)によると、「約1〜2%で」と標記されている。以上のように砕石微粒分の発生量は砕石生産量の最大10%から最小1%とかなり大きな幅で推定されている。5%と仮定すると、06年度の発生量は2億6000万トン×5%=1300万トンとなる。そのうちの3分の2、即ち1300万トン×2/3=870万トンが汚泥に分類される「砕石スラッジ」だということになる。06年度のセメントの生産量が約6900万トンだから、砕石スラッジの発生量はセメント生産量の870万トン÷6900万トン=約13%にも相当する。膨大な量であることが理解されるであろう。この再資源化が喫緊の課題となっているのである。

2.砕石スラッジ再資源化の方向性
  砕石スラッジの再資源化へ向けての最も大きな問題点は、砕石スラッジが「水」を含んでいることである。もともと砕石汚泥や脱水ケーキと呼ばれるごとく含水状態にあることが再資源化への最大のネックとなっている。今回の研究開発においても、実験に使用した砕石スラッジは脱水処理の程度や試料の材齢によって15〜25%程度の含水率(含水量÷湿潤重量)であった。
  著者らは今回の砕石スラッジの再資源化に取り組む前に、数年にわたって「生コンスラッジ」の再資源化に関する研究に取り組んできた。その成果は投稿依頼を受けた「工業材料 92/7」(日刊工業新聞社)の「特集 新素材・新材料に対応する成形技術」に紹介されている。これは再資源化する対象が生コンスラッジであったが、完成品の付加価値を高めるために生コンスラッジを炉乾燥して絶乾状態にして使用した。タイル等の製品はできたが処理すべき生コンスラッジの使用量が少なかったこと、製作費用とコストとのバランスがとれなかったこと等の理由で商品化までには至らなかった。
  ところで、砕石汚泥のみならず建設汚泥や下水汚泥等の「汚泥」を再資源化するためには何らかの方法で固化することが絶対条件である。一般に汚泥を固化するための固化材としては無機系ではセメントや石灰が広く使用されていることは周知の通りである。今回、共同研究者の一員である弥生石材(大分県佐伯市)においても共同研究に取りかかるまでは生石灰を用いて砕石スラッジを固化していた。しかし、公共工事の減少等に伴って骨材単価も下落するとともに、さらなる安値受注をも余儀なくされ、追い討ちをかけるように原油の高騰も重なって、有価な生石灰を用いて砕石スラッジを固化していては処理経費がかさみ採算が取れなくなってきていた。他業者も同様にセメントや生石灰を用いて砕石スラッジを固化していたのでは採算ベースを割っているが、産廃(汚泥)処理の立場からやむを得ず処理せざるを得ないのが現状ではないだろうか。
  以上のような状況に鑑みて今までの反省と経験を活かし、本研究開発においては、「製造コストを安くし、低付加価値のものであっても産業廃棄物を大量に使用した製品を製造すること」というコンセプトのもと、研究開発に取り組んだものである。また、環境に対する安全性は「大分県リサイクル認定製品認定基準」に定められた「土壌環境基準」に適合することを目標とした。
  さらに、商品化の方向としては、まず「下層路盤材」への利用を目指し、次の段階で「低品質再生砕石」の開発とコンクリート環境製品の製作を目指したいと考えている。

3.砕石スラッジ再資源化システムの特徴
  本事業で開発した「砕石スラッジ再資源化システム」の特徴を要約すると、
  @100%産廃原料であること
  後述するが、本研究開発では砕石スラッジを固化するために、生コンスラッジ、石灰バグフィルターダスト、石膏ボートダストの3種類の産業廃棄物を有効利用している。
  生コンスラッジは生コン工場のミキサ等の洗浄水の処理工程で発生するものであり、石灰バグフィルターダストは石灰工場で石灰石を加熱して生石灰を生産する際の副産物、また廃石膏ボードは建築物の解体時に発生したものを廃棄物中間処理施設でダスト状に粉砕処理したものである。
  なお、石膏ボードに含まれる紙は大部分が取り除かれている。以上のように固化材として有価なセメントや生石灰を使用していないことが大きな特徴である。
  A省エネタイプであること
  砕石スラッジ再資源化の工程で、「乾燥」という工程を省いたことによって乾燥に必要な熱エネルギー(電気・ガス・重油等)が不要の省エネシステムとなったことである。また乾燥工程を省略し含水したままの脱水ケーキを使用するシステムとしたことは、水を含んだ砕石スラッジ(脱水ケーキ)の再資源化の最も大きなネックであった問題が解決されたことになる。これは当然、製品のコスト低下につながるとともに、環境負荷を低減した環境に優しい製造方法であるといえる。
  B産廃を大量使用すること
  廃棄物の再利用を考えたとき、その使用量(処理量)がわずかしかなければ製品化されたとしてもあまり意味をなさない。もちろん貴重な金属のようなものの場合はその限りではないが、一般に大量処理して初めて価値あるものといえるであろう。本製造システムの場合、砕石スラッジを含む他の産廃も大量に使用(処理)することから、最終処分場のひっ迫した今日、廃棄物処理行政に寄与する面は大といえる。
  C低コストの製品が製造できること
  一般にリサイクル製品の市場化を図るとき、天然材よりも廉価であることが要求される。本製造システムの場合、@のようにすべて産廃利用であること、Aのように省エネタイプであることから、当然、製造コストは安くなる。従って、リサイクル製品のコストも安くなる。
  以上のように、今回開発した砕石スラッジ再資源化システムは市場化可能なシステムである。同時に廃棄物処理の一方向性を示唆するものであると考えている。従来は多くの研究開発が「高付加価値」を求めて産廃の再資源化をめざしていたように思われるが、「逆転の発想」から見えてきた「低付加価値・産廃大量処分」という方向は、持続ある社会の構築を考えたとき一考に値するコンセプトではないだろうか。
  また、本研究開発で使用している産業廃棄物のうち、「石灰バグフィルターダスト」は石灰製造業からの産業副産物で、大分県においては津久見市を中心とした県南エリアに石灰製造業が集積しており、この地区において経済的に機能する砕石スラッジ再資源化システムであると考えている。すなわち、地域依存性の高い製造システムであるといえるであろう。

砕石スラッジ再生骨材の製造

1.砕石スラッジ再生骨材とは
  「砕石スラッジ再生骨材」とは、砕石スラッジに生コンスラッジ、石灰バグフィルターダストおよび廃石膏ボードダストを原材料として加え、自走式土質改良機「リテラ」(コマツ製)にて撹拌・製造・固化したものである。
  以後、砕石スラッジ再生骨材を「RSC」、砕石スラッジを「SS」、生コンスラッジを「CS」、石灰バグフィルターダストを「BF」、廃石膏ボードダストを「PB」と略記する。

2.予備試験の結果
  現場(採石場)での現場製造実験を実施する前に、大学の実験室で予備試験を実施して配合を決定した。本研究開発の本来の目的が「砕石スラッジの用途開発」であるので、砕石スラッジを多量に使用する方向で配合設計を行なった。その結果、相当の強度と乾湿繰り返し試験(水中・乾燥の繰り返し)で一定の成果が得られる配合を決定した。この配合を「基本配合」として実験研究を実施した。
  (2)―1強度試験用供試体の製作
  著者らの既往の研究をもとに決定した数種類の配合について、実験室内でパン型強制練りミキサ(容量60リットル)(写真-1)を用いて試験練りを行なった。なお、試験に用いた原材料(産業廃棄物)は前もって各排出先から試験室に搬入しておいた。
  SSはビニール袋にほぼ密封して保管。CSは試験実施の火曜日に生コン工場からビニール袋に詰めて搬入してもらい、火、水、木曜日の3日間使用した。従って、CSは材齢経過に伴う品質の変化(強度発現性の低下)をきたしている。BFは都合により昨年度使用してビニール袋にほぼ密封保管していたものを使用した。従って、新鮮なBFに比べると強度発現性がある程度低下しているものと推定している。また、PBは土のう袋に入れて保管しておいた昨年度の試料を使用した。ただPBそのものが相当に長い年数自然界にあったものであることから、品質変動はほとんどないものと考えている。以上のような原材料の搬入・保管状態を考慮すると、すべて新鮮な原材料、特に新鮮なBFを用いると、以後述べる今回得られた強度試験結果よりも良好な結果が得られるものと推定している。
  練り混ぜ方法は、写真-1の強制練りミキサに@SSとCSを投入・空練り、ABFとPBを投入・空練り、BSS・CS・BF・PBの混合物(RSC混合物と略記)の状態(軟らかさ)を目視にて確認しながら、適宜加水して3分間練り混ぜ、C練り混ぜ終了後、練り板に排出した。排出したRSC混合物を直径10センチメートル、高さ20センチメートルの円柱供試体に十分に締め固めて詰め、材齢5日に脱型、以後試験材齢28日まで室内に静置・気乾養生した。
  (2)―2試験結果と考察
  数種類の配合による試験練りの結果から、最も適当と思われる「基本配合」を決定した。この基本配合による試験結果について述べる。
  この基本配合を用いて6回の練混ぜを行った。その強度試験結果を図―1に示す。
  図―1のようにRSC混合物の圧縮強度は4〜5N/mm3程度であった。6バッチごとの含水率は、SSが15〜24%、CSが39〜49%で練混ぜ時の加水量は1.2〜2.5リットルであった。加水はミキサ練混ぜ時の混合物の状態を目視・観察して行なったが、ミキサから排出されたRSC混合物の含水率は25〜32%と比較的小さな範囲に収まった。また、RSC混合物の含水率と硬化したRSC混合物の強度との相関関係は認められなかった。同様に、単位重量は1.6〜1.8トン/m3(平均1.75トン/m3)で強度との相関関係は認められなかった。
  以上のことから、RSC混合物の含水率を25〜30%程度の幅で管理しておけば、バッチごとの変動がRSC混合物の強度にそれほど大きな影響を与えないことが確認された。そしてこの幅で含水率を管理することは、十分可能かつ困難でないことが経験的に把握できた。

3.リテラ使用の砕石スラッジ再生骨材の製造
  弥生石材の採石場の自走式土質改良機「リテラ」に、付帯設備として、BFとPBの貯蔵サイロと自動供給可能な制御盤を持つスクリューコンベアーを設置して、「砕石スラッジ再生骨材製造プラント」(写真-2)を構築した。
  写真-2のように、リテラ後部のホッパーAにユンボ@を用いてSSとCSを投入し、ほぼ同時にサイロBからスクリューコンベアーを通してBFとPBをリテラの撹拌部Cに投入・撹拌。排出口DからRSCを排出した(写真-3)。排出したRSCを写真-4に、拡大したものを写真-5に示す。原材料としてすべて産業廃棄物である砕石スラッジ・生コンスラッジ・石灰バグフィルターダスト・廃石膏ボードダストを再利用して製造した「砕石スラッジ再生骨材」(RSC)の環境に対する安全性を評価するために、大分県リサイクル認定製品認定基準「土壌環境基準」に適合するか否かを評価するために、外部検査機関に26項目の溶出試験を依頼した。その結果、すべての項目が土壌環境基準に適合することが確認された。

再生路盤材の開発

 再生クラッシャーランRC―40に写真-4の砕石スラッジ再生骨材RSCを70:30の割合で混合して、新しくRSC混合の再生クラッシャーラン(RRC―40と略記)を製造して外部検査機関に骨材試験を依頼した。その結果、下層路盤材として適合することが確認された。ちなみに修正CBRは57.7%であった。
  以上のように、本研究開発は「大分県循環型環境産業創出事業」として認定され、その補助金をもとに「砕石スラッジ再生骨材製造プラント」を構築して、産廃100%使用の「砕石スラッジ再資源化システム」を確立したものである。
  その結果、今までほとんど未利用であった膨大な発生量の「砕石汚泥」を「オール産廃」使用というコンセプトのもと大量再資源化を可能とし、廉価でかつ安全な「砕石スラッジ再生骨材」として蘇らせ、下層路盤材としての用途を開発したものである。
  なお、本研究開発は主に大分県産学官交流研究グループである「石粉の用途開発グループ」のメンバーが中心となって行ったものである。メンバーは著者の他に、日本文理大学環境科学研究所の丸山巖客員研究員、弥生石材の管博久代表取締役、三和コンクリートの皮野基文開発部長、本吉建設の長谷川景明環境事業部長、古手川産業の菅原清事業開発室長、大分県産業科学技術センターの玉造公男参事・二宮信治主幹研究員・谷口秀樹主任研究員である。

出典:アグリゲイト 2007年10月22日

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