KOMATSU
経営・技術イノベーションコマツ・ソリューション鉱山採石テクノロジ業界情報インフォメーション耳寄りリンク集

HOME > 業界情報 > SAISEKIコラム
業界情報
SAISEKIコラム リサイクル

高付加価値化図る/スラグ骨材

 鉄鋼スラグや非鉄スラグは、安定した品質や環境負荷を低減させるリサイクル材として、コンクリート用スラグ骨材JIS化や使用製品がグリーン購入法の特定調達品目に指定されたことなどから需要が拡大。事業者側もスラグの増産設備・出荷システムを整えるなど長期安定供給に向けた体制づくりに注力している。ここでは、鐵鋼スラグ協会技術委員会鉄鋼スラグ骨材ワーキンググループの山中量一リーダーにスラグ骨材の普及状況と展望、課題について話を聞いた。

水砕化率高まる鉄鋼スラグ
高炉スラグ骨材のJIS年内改正〜環境配慮も織り込む/鐵鋼スラグ協会

山中量一リーダーにきく

――07暦年は粗鋼生産量が過去最高だった。
山中リーダー 鉄鋼連盟の調べによると、粗鋼生産量が前年比3.4%増の1億2020万トン、過去最高記録(73年)を更新した。年度ベースでも過去最高を更新する勢いのようだ。改正建築基準法施行により建材向け需要が減少したが、自動車向けなどが引き続き好調だ。このため、07年度のスラグ生産量も高水準となるもようだ。

――最近の生産・利用状況は。
山中リーダー 07年度上期の統計が最近まとまったが、水砕スラグがコンクリート用細骨材向けに151万8千トン(前年同期比3.8%増)、徐冷スラグがコンクリート用粗骨材向けに12万8千トン(同18・5%減)販売された。
  コンクリート細骨材向けの出荷量を地域ごとに見ると、06年度は関東一区が最多の138万トン(前年比3.3%増)。以下、近畿61万1千トン(同44.1%増)、中国49万4千トン(同2.7%増)、東海39万3千トン(同14.2%増)、四国21万4千トン(同55.1%増)と続いた。近畿、四国など西日本で前年比の伸びが顕著だったが、瀬戸内海の海砂採取規制や中国政府の川砂輸出禁止措置などによって、砂の需要が高まったことが要因と思われる。
  また、水砕化率が上昇しており、07年度上期は82.2%となった。セメント用途を対象に水砕化が以前から進んできていた。コンクリート用骨材向けについても、路盤材など公共事業で使用されていた粗骨材の需要が近年減少傾向であり、最近は粗骨材よりも細骨材としてのニーズが圧倒的に多いため、一層の水砕化が進んでいる。コンクリート用骨材向けの水砕スラグは粒度調整などが必要となるため、セメント用の水砕スラグよりも加工設備も必要である。

――鉄鋼スラグ骨材の利点は。
山中リーダー 鉄鋼スラグ製品はリサイクルの優等生とされ、われわれもその自負がある。
  他の骨材と比べ、採掘・加工・破砕・輸送などに必要とするエネルギーが小さく、CO2削減など環境負荷の低減効果が大きい。こうした点から国のグリーン購入法の指定製品となっている(高炉スラグ骨材は02年度、電気炉酸化スラグ骨材は05年に指定された)。

 また、天然砂などは全国各地で性状が異なるが、鉄鋼スラグ骨材は品質管理された工業製品であり、不純物が混入せず、同一の化学成分で製造された製品である。骨材とアルカリの反応によって溶出するシリカ量が少ないため、アルカリ骨材反応のおそれもない。
  高炉スラグ骨材は、特に夏場に固結する欠点があったが、固結防止剤で抑制できる。高炉スラグの生産拠点となる製鉄所は関東以西に多く立地する。コンクリート用細骨材向けは製鉄所近隣の生コン工場や二次製品メーカーへの販売が主だが、船舶で臨海生コン工場への海上輸送も可能だ。
  徐冷スラグは強度に利点があり、路盤材として使用すれば丈夫な道路ができる。電気炉酸化スラグ骨材は密度が高く、重量があるため、消波ブロックや防音材などとして最適である。

――JIS規格は。
山中リーダー 高炉スラグ骨材のJIS規格化は、80年代に完了したが、環境面の品質基準が定められていない。05年3月にスラグ類の化学物質試験方法のJIS(K 0058-1および2)が制定され、試験方法が決まったことを踏まえ、現在は環境と調和した循環型社会の構築を目的としてJISに環境配慮を織り込む方向で検討が進んでおり、1年以内にも改定される予定だ。
  道路用鉄鋼スラグについても現在、年内のJIS規格制定に向けて検討が進んでいる。電気炉スラグは、コンクリート用電気炉酸化スラグ骨材が03年にJIS化され、現在1社(中部鋼鈑)がJISを取得している。

――その他の課題は。
山中リーダー 鉄鋼スラグの最大の販売用途はセメント用である。しかし、国内セメント生産量は最盛期の半分程度まで落ちている一方、海外での需要は高く、輸出比率が増加している。セメント向けは現在でも事業の柱であるが、国内向けについて言えば、コンクリート用骨材向けも柱となるよう、拡販していきたいと思う。
  骨材への環境資材としての期待は大きいが、急速に設備(水砕化設備、製砂設備)を増強したところで、市場が即応して急速に大きくなるとは考えられない。やはり市場と呼応させながら進めないといけない。
  生産量が限られる鉄鋼スラグだけで骨材需要のすべてをまかなうことはできない。他の骨材と共存しながら、市場ニーズに応えていくしかない。また、他の材料とブレンドして使用されるため、混合する相手との相性が重要となってくる。
  電気炉酸化スラグ骨材については、近年知名度が上がって需要が増加しており、製造する工場も増加している。JIS工場は現在、名古屋に1カ所しかないが、全国には約70カ所の電気炉事業所があるので、数年内にJIS工場を各地に増やすことが課題だ。

――協会は今年で創立30周年を迎える。
山中リーダー 鉄鋼スラグ製品は1960年代から一般的に使用され始めたが、一層の有効利用を図るため、66年に鉱さい製品研究会を創立、後に日本鉱さい協会、日本スラグ協会と改称した。78年に日本スラグ協会が発展的に解消し、鐵鋼スラグ協会が設立されて、今年で30周年を迎える。
  鉄鋼スラグは鉱さいと混同されがちだが、用材化した商品は鉄鋼スラグ製品、廃棄物が鉱さいとハッキリ区別している。先人が長年かけて築き上げた鉄鋼スラグというブランドを傷つけないように努めることがわれわれの責務だ。

出典:セメント新聞 2008年2月25日

このページのトップへ

採石コラム記事一覧業界情報インデックス

Copyright (C) 2008 Komatsu Ltd. All rights reserved. ご利用上の注意 | お問い合わせ | サイトマップ
HOME