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SAISEKIコラム リサイクル

「使える土砂」に再資源化〜環境負荷低減型施工へ

建築構造物の地盤改良は、公共工事や住宅の品質確保の促進等に関する法律の施行などもあり、ますます、その重要性がクローズアップされ、セメント系固化材に対する期待が高まってる。一方でセメント系固化材には、軟弱地盤の改良以外にも、建設発生土・汚泥などに対する安定化・再利用工法としての役割が大きく求められている。いずれの工法も、副産物である土砂を排出せず、また新たな埋め戻し用のヴァージン材も不要で、当該土壌を現場でそのまま使用できるため、非常に環境保全性の高い技術であるといえる。

1. はじめに
21世紀は環境の時代と言われており、現在、様々な分野で環境に対する取組みが行われている。土木・建設の分野も例外ではなく、建設施工による温暖化ガス排出削減や建設廃棄物のリサイクルなど様々な試みが行われている。建設廃棄物の中でも建設発生土(掘削残土など)や建設汚泥は排出量が多いにも拘らず、埋立て処分される量が多く、リサイクル率が低いのが現状である。処分場の残存容量が逼迫していることを考えると、埋め立て処分は環境負荷が大きいと言わざるを得ない。それゆえ環境負荷低減型施工を実現するためには、大量の軟弱泥土や高含水比泥土をできるだけ効率的に再資源化し新材の開発を抑制することが極めて重要である。
ところで、軟弱泥土や高含水比泥土を有効活用するためには、解きほぐしの状態にある土砂の強度を高めたり、高含水比状態の泥土の含水比を低下させ、「使える土砂」に再資源化する必要があるが、この再資源化処理において欠かすことができない添加材が、いわゆる「固化材」である。つまり、固化処理を上手く利用し、大量の軟弱泥土や高含水比泥土を効率よく良質な土砂に再生できれば、環境負荷低減型の土質改良に大いに貢献できる。ここでは、セメント系固化材を用いた泥土処理の一例を紹介する。

2. 自走式土質改良機による建設発生土の改質
建設工事において大量に発生する建設発生土は、「工事において利用に努めるべき再生資源」とされており、盛土や埋め戻し材として再利用される量が年々増加傾向にある。建設発生土は、いわゆる解きほぐしの状態にあるため、盛土や埋め戻し材として再利用するためには強度を高めるために固化材が添加される。固化材としては、生石灰、石灰系固化材あるいはセメント系固化材が一般的に使用されている。建設発生土を埋め戻し材として再利用する場合、生石灰を数%混合するホットソイル工法(1)により処理されることが多いが、土質によってはセメント系固化材も用いられる。
ところで、従来は建設発生土と固化材をバックホウにより混合する方式が取られていたが、近年では自走式土質改良機により、建設発生土と固化材を添加する施工法の採用事例が増えてきている(2)。自走式土質改良機による改質では、現場内で処理可能であるため、改質された土砂をそのまま埋め戻し材として再利用でき、環境負荷低減型の施工法として注目されている。

3. セメント系固化材を用いた高含水比泥土の改質
建設汚泥・ヘドロ・浚渫土などの軟弱泥土は含水比が高く、直接の再利用が困難であるため、中間処理施設で脱水処理を施すか、直接最終処分場に持ち込まれており、リサイクル率が低いのが現状である。従って、軟弱泥土のリサイクル率を向上させ、国策でもある循環型社会の形成に資するためには、需要の高いリサイクル品を生み出す泥土再資源化技術の開発が必要不可欠であり、再資源化のプロセスにおいてセメント系固化材の果たす役割は大きい。以下に代表的な工法を紹介する。

[1]流動化処理工法(3)
この工法は、軟弱泥土にセメント系固化材を混合して練ることにより流動化させ、まだ固まらないコンクリートのようにポンプなどで流し込んで裏込め材などとして利用する方法である。この方法は、打設時に締固めを必要とせず、また流動性が高いので埋戻しや充填が容易であるという利点を有する。一方、流動化処理土は粘り強さがなく、外力が加わると小さなひずみで破壊に至ってしまうという弱点も指摘されているが(4)、(5)、大量の軟弱泥土を短時間で容易に再資源化できることから広く利用されている工法である。

[2]気泡混合土処理工法(6)
この工法は、流動化処理土に気泡を混合して軽量化を図ったもので、流動化処理土と同様にポンプなどで圧送して盛土・裏込め材として再利用する方法である。通常の土砂に比べて軽量であるので、土圧が小さくなり、構造物を小さくすることができるなどの利点がある反面、気泡混合土は乾湿繰り返しに対する耐久性が低く、乾湿の影響を大きく受けて劣化するので、使用に際しては気泡混合土が大気に暴露しないように山砂等で被覆する必要があることが指摘されている(7)。

[3]安定化処理工法(固化処理工法)(8)
この工法は、軟弱泥土にセメント系固化材を混合し、泥土を固化処理して地盤材料として再利用しようとするものである。本工法は処理が簡単で施工コストも安価であるので、広く用いられており、また固化処理土の土質工学的特性も数多く研究が行われている(9)、(10)。この工法は、混合するセメント系固化材の量を調整することで目的とする土砂の強度を容易に制御できる柔軟性があり、簡便な方法ではあるが、生成される固化処理土は流動化処理土のように「硬いが脆い」という弱点がある。また乾湿繰り返しに対する耐久性もさほど高くなく、乾湿の影響を大きく受けて劣化するという弱点も報告されている(図−1参照)(9)。

[4]繊維質固化処理土工法(ボンテラン工法)(11)
この工法は、軟弱泥土に古紙破砕物を混合することにより見掛けの含水比を低下させ、さらに水溶性の高分子系改良剤を添加することにより脱水工程を施すことなく、30分程度の攪拌で良質な土砂に再資源化する方法である。生成される土砂は内部に繊維質を含むため、添加するセメント系固化材の量が同じであれば、固化処理土と比べて破壊強度および破壊ひずみがともに大きく、かつ乾湿繰り返し・凍結融解に対する劣化耐久性が大きいことが既に確認されている(12)。また生成土の最終的な強度は固化材の強度発現に依存するが、繊維質と土砂の混合だけでもかなりの強度が得られるため、初期の強度発現が大きい。そのため、災害復旧現場での軟弱泥土処理に使用され、重機のアクセス道路の確保に大きく貢献した実績も有する(13)。

新たな機能性を付加、繊維添加で耐震性に

4. 今後の泥土処理・地盤改良の課題
泥土のリサイクルという観点からは、泥土を「土に返す」というのが最も理にかなった方法であることは容易に想像できる。しかし、泥土のリサイクル率を向上させ、環境負荷低減型の土質改良・地盤改良をより推進させていくためには、単に泥土を「土に返す」という技術では不十分であり、「付加価値のついた機能性の土に返す技術」の確立が強く望まれる。例えば、廃泥土を利用した高機能地盤材料や埋戻し材の作成である。図−2は、平成15年7月に発生した宮城県北部地震による堤防崩壊の様子(14)を示したものであるが、明確な破壊面が見られ、破壊面に沿って地盤が崩れ落ちていることが分かる。これは堤防を構築している地盤材料が地震動による大きな繰り返し荷重を受け、地盤内部のせん断応力あるいは引張応力が許容値を超え、破壊基準に達したため崩壊に至ったと考えられる。
ところで、図−3は、固化処理土と繊維質固化処理土を用いて三軸圧縮試験を行った時の供試体の破壊の様子を示している。固化処理土には明瞭な破断面が生じ、破壊に至っていることが分かる。この破壊形態は、図-2に示した堤防の破壊形態に近い。これに対して、建設汚泥に古紙破砕物を加え、さらにセメント系固化材により固化した繊維質処理土は、明瞭な破断面が見られず、樽型変形を示しており、大きな変形に耐えていることが分かる。また繰り返し三軸圧縮試験の結果より、繊維質固化処理土は高い動的強度を有することが確認されている(15)。このように軟弱泥土処理でも古紙を添加するという一工夫を施すと、泥土を単に土に蘇らせるだけでなく、耐震性地盤材料として付加価値の付いた土砂に再資源化できる可能性がある。

液状化にも強い 改良土の埋め戻し

一方、平成15年9月に発生した十勝沖地震では、下水道管渠やマンホールの浮上がり、管渠埋戻し部の路面沈下など下水道施設に多大な被害が報告されている(16) (17)。しかし、十勝沖地震による下水道施設の被害状況に関する現地調査では、改良土を埋戻し材として使用した箇所では被害が少ないなど、改良土を埋戻し材として使用する効果が確認されている(17)。今後は管渠の埋戻しには、できるだけ液状化しない土砂を使用するという自治体も多く現れている。泥土を単に土に返すのではなく、再資源化の過程で「液状化しない」などの機能性を付加できれば、軟弱泥土の大幅なリサイクリング率向上が期待でき、環境負荷低減型の泥土処理に大きく貢献できると考えられる。(本文の(1)〜(17)は下欄の参考文献(1)〜(17)に対応しています。編集部)

参考文献
(1) ホットソイル工法ホームページ:http://hotsoil.com/
(2) テラメカニックス研究会:テラメカニックスライブラリー5最新環境負荷低減の技術とシステム。pp83−88、2002
(3) 先端建設技術センター:建設汚泥リサイクル指針、大成出版社、p164、1999
(4) 村田修:流動化処理土工法、土木学会誌、Vol87、pp25−28、2002
(5) 久野悟郎:土の流動化処理土工法、技報堂出版、pp57−60、 1997
(6) ibid・(3)、p165
(7) 松原榮一他:ため池堆積土を用いた軽量地盤材料の特性、軽量地盤材料の開発と適用に関するシンポジウム論文集、pp183−186、 2000
(8) ibid・(3)、pp168−169
(9) 小川伸吉他:建設汚泥改良土の利用に関する基礎的研究(その1)〜(その20)、土質工学研究発表会、1995〜1997
(10) 福島伸二他:固化処理したため池泥土の盛土材への適用性の研究、土木学会論文集、No.666/V−53、 pp99−116、2000
(11) 森雅人、高橋弘他:故紙破砕物と高分子系改良剤を用いた新しい高含水比泥土リサイクル工法の提案と繊維質固化処理土の強度特性、Journal of MMIJ、 Vol119、 No4−5、 pp155−160、 2003
(12) 森雅人、高橋弘、熊倉宏治:繊維質固化処理土の乾湿繰り返し試験による耐久性に関する実験的研究、Journal of MMIJ、 Vol121、 No2−3、 pp37−43、 2005
(13) 高橋弘、森雅人、柴田聡、佐々木和則:繊維質固化処理土工法を用いた芋川河道閉塞緊急対策工事について、第3回土砂災害に関するシンポジウム論文集、pp19−24、 2006
(14) 国土交通省東北地方整備局北上川下流河川事務所パンフレット「宮城県北部を震源とする地震 鳴瀬川・北上川被害状況」、2003
(15) 高橋弘、高橋研太、森雅人:繊維質固化処理土工法の動的強度について、第4回土砂災害に関するシンポジウム論文集掲載決定、2008
(16) 藤生和也、吉田敏章、行方馨:平成15年十勝沖地震による下水道施設の被害に関する現地調査(第1弾),月刊下水道、Vol26、 No13、 pp79−83、 2003
(17) 藤生和也、行方馨、田村敬一、佐々木哲也、石原雅則:平成15年十勝沖地震による下水道施設の被害に関する現地調査(第2弾)、月刊下水道、Vol26、 No14、pp39−44、 2003
   

出典:コンクリート工業新聞 2008年8月21日

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