KOMATSU
経営・技術イノベーションコマツ・ソリューション鉱山採石テクノロジ業界情報インフォメーション耳寄りリンク集

HOME > 業界情報 > SAISEKIコラム
業界情報
SAISEKIコラム その他

パネルディスカッション〜砕石業の未来を語る
〜砕石事業継続で認識が一致/集約・協業などの対策が必要に〜

  (社)日本砕石協会関東地方本部(織戸保四郎本部長)傘下の若手後継者組織である「一岩会」(菊池和博代表世話人)は9月5日に東京・品川区五反田の「ゆうぽうと」(東京簡易保険会館)で開催した「設立5周年記念式典」で、「砕石業の未来を語る」をテーマにパネルディスカッションが行われた。

需要減など課題が山積/隣接社と生産集約で対応 佐々木氏

加藤 ここ数年の課題とそれに対しどういう取り組みを行っているのかを伺いたい。また厳しい時代の中で、将来に向けてどのような生き残り策を取っているのかを伺いたい。
  佐々木 課題は「需要の減少に伴う経営の不安定化」である。岩手県内では、公共事業費がピーク時から約70%減少し、これに伴い、砕石の需要も道路用が61%減、生コン用が35%減となった。
  当社ではこれを克服するため、人員や機械の配置の見直し、購入品の単価交渉、地代の値引きなど様々な取り組みを行ってきたが、なかなか需要の減少に追いつけなかった。
  そのような中、昭和60年から限りある資源の有効活用を目的に隣接2工場と合同で認可申請を行うようになった。さらに平成12年には、隣接1工場と生産に関する業務提携契約を締結して生産プラントを集約した。このため、現在は人員や機械の配置、設備計画を2社で一緒にやっている。今後は業務提携のメリットを最大限引き出して課題を克服していけるよう努めたい。
青木 栃木県は、元号が「平成」に改まったあたりに「量」を追い求めるような形で巨額のプラント投資を行った会社が何社もあった。これに反して、需要が落ち込んできたため、以後数年間ディスカウント競争をし続け、各社とも利益が出なくなってしまった。昨年の県内の生産量は2660万トンだったが、これはピーク時の約半分に当たる。
  一方、そういう厳しい中でも、ある取り組みによって成功している会社があるので紹介したい。
  一つは、他社に先駆けてRCの認定工場を取り、生コン工場や二次製品工場からコンクリート廃材を入手して、そのリサイクル材を同業他社に販売することで業容が3倍になったところがある。また、もう一つは建設残土の受け入れを行い、キャッシュフローを増やし借金を減らしたところ。さらには、合材向けに砕石の拡販を図るとともに、青ナンバーを取って合材の小運搬を業とし、帰りには廃材を積んでくるサービス会社としての生き方を行っているところなどがある。
  そのような中、当社はというと、極めて硬い硬質砂岩(圧縮強度300N/平方ミリ)の特長を活かし、超高強度コンクリート二次製品向けの骨材に特化できるようにした。
  また、粒形判定実積率の向上や品質の安定化にも努めたほか、JISやISO/IECの取得と社内のイントラネットを整備して、クレームやユーザーニーズを全社的に把握できる体制を整えた。
  現在の課題は「低価格で出荷せざるを得ないゼロ物の処理」で、当社ではこれをコンクリート用骨材に変えるため、プラントへの投資を検討している。その際には「量」を求めるものではなく、製品をA級品やB級品のようにランク分けができる「質」を追求する設備にし、総生産量の減少(合理化)と効率を求めたい。
小平 まず「価格」がある。これは当社が所属する組合に限るが、半年間に全製品一律で600円値上げし、約8割で達成できた。
  もう一つは「合理化」で、特に稼働率の改善がある。これはプラントもダンプもだが、ダンプの場合は帰り荷にアスファルト廃材またはコンクリート廃材、建設残土を積んで帰るようにして、無駄な燃料を削減し稼働率を改善させた。
  このほかにも課題は山積しているが、段階的に改善していきたい。

採掘限度が迫る会社も 山本氏/砕石粉の製品化に注力 松本氏

山本 課題はいろいろあるが、一つは「路盤材市場の破綻」である。県内のリサイクル材はここ10年ほどうまくいっていたが、ここに来て工場が乱立した。これに伴い、路盤材の単価もほとんど運賃だけのような形になり、非常に厳しくなっている。
  また、全国的にはゼロ物から砕砂を製造する工場が
多いが、広島では、安価な加工砂(マサ土を洗浄した砂)が生コン工場で大量に使用されていることに加え、かなり内陸にまで石灰石骨材が流入して来るため、砕砂の製造に踏み切れないという実態がある。
  このような状況を改善するため、弱体化していた組合を建て直し、値上げしていくことになったが、浸透率はまだ低い。組合では,雑談の中で「協業化」の声も出始めた。
  このほか、県内の大きな課題としては資源の枯渇問題がある。原石山の確保ができていない、表土の処理の遅れ、余剰生産物の堆積などの影響により、原石山の採掘限度が迫っているところがある。
  これについては「県内の骨材の推移」や「今後の砕石業」のような調査について、県または経済産業局の協力が得られないかと考えている。そうでないと、今後、長期的な採掘・設備投資の計画が立てられないところも出てくる。
  このほか、ショベルオペレータなどのプロレベルの技術を持った人材が確保しづらくなっている。そういう意味で人材の育成も大きな課題だ。
松本 当社がある北九州市は自動車産業をはじめ工場立地が進んでいるため、民需は好調である。
  その一方、北九州市はリサイクル特区でもあるため、路盤材はもとより、裏込め材も「全てリサイクル」という傾向がある。また大手の石灰石鉱山から生コン工場に粗・細骨材が直接供給される。(最近は石灰石指向が強いこともあり)これまで砕石を使用していた生コン工場が石灰石に変わったケースも出ている。
  さらに鉄鋼メーカーから非常に安い単価で鉄鋼スラグの再生路盤材やアスファルト向けの細骨材が出荷されているほか、中間処理業者も大小専業社が数多くあり、リサイクル材の価格は安く抑えられてしまう。
  このような中、砕石の価格が一番の問題となっている。このほか、人材育成、余剰品の処理などがある。
  砕石の価格については、昨年度から各社がユーザーと値戻し交渉を行っており、一部で1〜200円程度上がっている。人材育成の問題は工場立地のマイナス影響が出ており、若い人材の確保が難しい。さらに山本さんも述べたように、ショベルなどのオペレータも育っていないのが現状だ。
  また、余剰品の処理はどうしても5ミリアンダーが余るため、これを砕砂にするための設備を当社では整えた。これに関連して力を入れているのが、砕砂製造時に副産されるフィラーやダストの製品化である。外部の方とも話し合っているが、なかなか商品化できない。「こういうものができそうだ」という話になっても実際に商流に乗るのか、コンスタントに需要があるかが問題になっている。

素材メーカーとして発展を 青木氏/安心な山づくり目指す 小平氏 

加藤 次に、本日は「未来を語る」がテーマであるため、今後何に向かって進み、30年、40年後に他産業への展開を含めて自分の会社をどうしたいのか。夢などを含めて伺いたい。
佐々木 いま同じ山で3社が操業しているが、業務提携を行っているのは当社を含めた2社である。いまの事業環境下では、3社で一体的な開発をしなければやっていけない状況だ。
  そう遠くない将来に3社で業務提携をし、経営の安定化を図って後継者に引き渡せるようにしたい。またそういうことを行いながら、地域の方々や従業員に対しても責任を持てる会社にしていきたい。
  他産業への展開という話も出たが、山の開発自体が途中であり、ここで放り投げて他の事業を行うよりも砕石業をどうやって今後も軌道に乗せていくかという努力を行う方が先決だ。
青木 記念講演では、今後も需要が減少していく中で、ある程度規模を追い求めた形でのプラントの再編が必要との話があった。
  この再編は(1)ユーザーニーズに応えられる品質管理体制が取れている (2)それを裏打ちする技術的・知識的なバックボーンがある (3)そのような努力をしてユーザーにどれだけ品質をアピールできるか、またそれを社内で処理できるかなどの体制を築けた会社を中心に行われていくのではないかと思う。
  県内では、少し時間がかかるかもしれないが、話し合いや協調のもと棲み分けが行われ、中には建設残土の受け入れ、RC専業、低品質だが徹底的な合理化を図る工場など、生き残りのために様々な形態が出てくると思う。
  また、当社では将来どこまでできているかは分からないが、われわれは砕石をただ売るのではなく、その効能をユーザーに提供するサービス会社として活躍できる素材産業のメーカーとしてもっと発展すべきだろう。そうならないと、若い人材も入って来ない。
  ▽先輩の背中を良い物だと思える▽会社そのものが組織体として成長している▽自分自身が成長できるような体制になればより良い方向に成長できると思う。
小平 当社も長い間砕石業を営んできたが、その過程では他業種への転換を検討した時期もあった。しかし、金銭的なことを含めて凄いエネルギーが必要になるため、踏み切れなかったというのが正直な話だ。
  長野県支部は組合員数が100を超えているが、「数の多さ」はすなわち「企業規模の小ささ」であり、当社同様、他業種に転換するだけのエネルギーがないのだろう。したがって多くの企業が砕石業をできるだけ長く続け、次の世代にも可能ならば継承させていきたいと考えていると思う。
  しかし、引き継がせていくためには、やはり経営の安定化が必要だ。
  また、今後はその山を第三者が見た時に、「何と酷い山」と思われる山づくりはしたくない。第三者が安心して法面の下でサッカーや野球ができるような圧迫感のない、誰もが安心できるような長野県独自の山づくりを「長野さいせい会」としてもやっていきたい。
山本 広島は前述のように課題が山積している。
  今後は組合を中心に事業展開していくと思われるが、組合を株式会社や持ち株会社化するなどの経営統合を行って行くのも一つの手だ。ただし、そうなった場合に良い理想像が描けるかは今後研究していかなければならない。
  また、砕石業は非常に人材が不足している。例えば、技術的なことを熟知し、ユーザーを十分に説得し切れるような人材が少ない。砕石業が社会に必要だということをPRする能力も、その意識もあまりないのではないかと思う。
  ユーザー第一主義と言えば聞こえはいいが、ユーザーの言いなりになっているのが実状だ。これは品質に関してもそうで、ユーザーニーズを満たすために設備投資額は増えていくが、価格は上がらない。
  ユーザーと対等とまではいかなくても対話していける力を持っていかなければならない。そのためには人材もそうだし、(集約なりを行って)ある程度大手化していくことが必要だろう。
松本 私も山本さんの意見に近い。せっかく各地域に協同組合があるのだからそれを活用しない手はない。私は家業を継ぐ前に石灰石鉱山に勤めていたが、規模の大きさが資材などの価格に反映されるのを見てきた。そういう意味でも組合がどれだけ結束していけるかが大事になる。
  生コン業界では、出荷数量が大きく減少した地域でまったく資本の違う会社が合併・集約しているが、砕石業界は今後どういう選択をしていくのか。どこかが潰れるまで戦うのか。それとも地域の中で集約し生産効率をあげていくのか。
  さらに、路盤材はコンクリート塊やアスコン塊にシェアをほとんど奪われたが、再生骨材をコンクリートに使う動きが一部で出ている。これが今後、国の指針として出てくる可能性もある。これに対して砕石業界はどうするのか。座して死を待つのか、それとも敢えてこれを取り込むのか。
  いまこういうことを真剣に考える時期にきていると思う。このほか、業界の地位の向上も考えていく必要がある。

再投資できる仕事を/「安売り」は破綻を招く 山口教授

加藤 意見も出尽くしたところで、本日の討論会について山口先生から講評をいただきたい。
山口 結論から言えば、素材メーカーとして砕石産業で生きて行く気持ちがあれば、そこに夢を描いてやっていくほかない。
  素材産業である砕石業は砕石資源があってこそのものであるが、れからは資源があるだけでは上手くいかないだろう。資源がこれから先何年あるのか、(原石の)品質はどうか、市場価格の動向はどうか、なども考えていく必要がある。
  資源産業は資源の持つ価値以上のことはできない。これが宿命だが、その資源の価値をいかに引き出していくかが重要となる。いままで通りただ量を出すのか、それとも砕石一つひとつに付加価値を付けていくのか、よく考えていかなければならない。
  またこういう難しい時期になると、よくダンピング(安売り)をするところが出てくるが、それだけは絶対にやってはいけない。業者は「一時的にするだけだ」と言うが、再投資できるような仕事を続けていかなければ、絶対に破綻をきたす。またダンピングは自分だけでなく、業界全体がうまくいかなくなる。
  そういうことをきちんと踏まえた上で計画を組み上げ、夢を描くようにしていかないといけない。
  いま企業経営は非常に難しく、各社でも様々な検討を行っていると思う。中には、廃業を考えている会社もあるだろう。しかし、撤退するにも方法がある。止めざるを得なくなってから廃業するほど惨めなことはない。そういうことも十分に考えていくべきだ。
  本日ご参加の方々は、二代目、三代目の方が多いようだが、歴史を紐解いても長続きした王朝は二代目、三代目がしっかりしていたという。そういう意味で皆さんにはしっかりとした企業経営を行っていただきたい。
加藤 最後にコーディネータとして討論会のまとめを述べたい。
  いままでの話を要約すると、いろいろな困難や悩みがあって壁にもぶつかるが、「砕石業を今後とも続けていきたい」という話だったと思う。討論の中では、皆さんの夢と志を伺ったが、それらの強い想いがあれば、困難な壁も乗り越えていくことができるのではないかと感じた。
  また、この式典の冒頭には塚田顧問から「厳しい時代ほど良いアイディアが出てくる」との話があり、またいま山口先生からは「絶対ダンピングせず、再投資ができるような仕事をしていくことが重要だ」との話があったが、その通りだと思う。そういうことが前提にあって本当に夢が手に入るのだろうと思う。

パネルディスカッション出席者
〈パネラー〉
▽佐々木和久氏=岩手県採石工業組合「銀河の会」会長・岩手中央砕石(株)専務取締役
▽青木 栄久氏=関東地方本部「一岩会」世話人・(株)オーリス社長
▽小平 祐市氏=長野県支部「長野さいせい会」前会長・マルコ自動車(株)社長
▽山本 浩徳氏=広島県西部協同組合「H・S・N」代表世話人・山一産業(株)社長
▽松本 卓志氏=九州地方本部「マーケット&マネージメント研究会」(M&M研)執行役員・寿砿業(株)社長
〈コーディネータ〉
▽加藤 政徳氏=関東地方本部「一岩会」世話人・相模興業(株)社長
〈コメンテータ〉
▽山口梅太郎氏=東京大学名誉教授 

 

出典:日本砕石新聞 2007年9月15日

このページのトップへ

採石コラム記事一覧業界情報インデックス

Copyright (C) 2007 Komatsu Ltd. All rights reserved. ご利用上の注意 | お問い合わせ | サイトマップ
HOME