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江ノ浦石産 独自のコンベヤ非常停止装置を導入

 砕石場における労働災害の中でベルトコンベヤに起因する災害は非常に多い。このため、(社)日本砕石協会では、毎年コンベヤによる労働災害の防止を安全スローガンとして掲げているほか、先般「ベルトコンベヤ災害防止対策マニュアル」をまとめるなど、コンベヤ災害低減に力を入れている。そのような中、神奈川県の江ノ浦石産梶i神奈川県小田原市、勝俣富久社長)では、約二十年前から安価な既製品を組み合わせて独自のベルトコンベヤ非常停止装置を設置し、コンベヤに起因する労働災害防止対策を講じている。そこで、この非常停止装置を考案した同社の杉田臣(すぎた・みたみ)専務取締役に設備の概要と効果について話を聞いた。

「トラップ」で強制停止、作業者の安全第一で考案

 江ノ浦石産は、工場内にある全てのベルトコンベヤに独自に考案した『トラップ式』非常停止装置を設置し、ベルトコンベヤに起因する労働災害防止対策を講じているが、その切っ掛けとなったのは平成元年に発生したベルトコンベヤによる労働災害だった。
 その事故は、従業員がテールプーリ部の居着き落とし作業で手を挟まれて負傷したものだった。「幸い大事には至らなかった」(杉田専務)が、安全対策の不備を痛感し、安全教育を徹底するとともに、どうすれば設備的にコンベヤ災害を予防できるかについて検討を始めたという。
 数メートル間隔で非常停止ボタンが置かれている工場や無線式の非常停止装置など様々な設備を見学し検討を進めたが、ほとんどの設備が誰か(被災者や同僚など)が何らかの行動を起こさなければコンベヤが停止しないものだった。
 一人作業が多い砕石工場では、万が一労働災害が発生した場合、被災者本人が当該設備に応じた何らかの行動を起こさなければならないが、「非常停止ボタンや引き綱に手が届かなかったり、事故によって無線の操作を上手く行えないケースも考えられた」(同)。このため、災害が発生した場合には強制的にコンベヤを停止できる方法が必要であるとの考えのもとで検討を続け、試行錯誤を重ねた結果、『トラップ式』非常停止装置を考案した。
 この非常停止装置は、リミットスイッチと電線のプルボックス、コイルスプリング、ステンレスワイヤーなどを組み合わせたもので、その構造は、プルボックス内に配置したリミットスイッチの左右にコイルスプリングを介してステンレスワイヤーを結び、ワイヤーは滑車を通してコンベヤのヘッドプーリおよびテールプーリを囲むように配置して端末を固定する作りになっている=図参照=。
この非常停止装置が設置されたベルトコンベヤは、リミットスイッチが中立状態で稼働し、左右どちらかに振れるとスイッチが切れ、停止する仕組みとなっているため、運転中に何らかの事情でワイヤーが引かれたり、切断されたりすると、リミットスイッチの均衡が崩れてコンベヤが止まる=写真=。
 「この非常停止装置は、ワイヤーが数センチ動いただけで(被災者が何か特別な行動を起こさなくても)コンベヤが止まるため、最悪の事態(死亡災害)を防ぐことができる」(同)という。
この装置を導入後、江ノ浦石産では、ベルトコンベヤによる労働災害が発生していない。

既製品活用し安価に設置

  『トラップ式』非常停止装置は「自社で装置を作製・施工できることを主眼におき考案」(同)されたため、リミットスイッチやプルボックスなどの構成材料は全て安価な既製品を使用し、装置自体も自社で簡単に作製することができる。
 「装置一台(コンベヤ一本ごとに必要)の材料費は一万円程度で、むしろ工賃の方が高くつく」という。
 ただし、この非常停止装置を導入する場合は、必要に応じて(1)非常停止の効果が及ぶ範囲の設定(2)コンベヤのバックストップ対策(3)落鉱対策-などの措置を講じなければ、工場の稼働率低下や二次災害などが発生する可能性があるという。
 このうち、「非常停止の効果が及ぶ範囲の設定」はどこまでのラインを停止させるかだという。この非常停止装置の電気回路はリミットスイッチを直列につなげているため、どこかで装置が作動すると、つながった全てのコンベヤが一斉に停止する。つまり、砕石工場のラインを一本の装置に組み込んでしまうと、作業効率が悪くなる可能性がある。このため、「コンベヤを区切りのよいグループに分ける必要がある」(同)。
 江ノ浦石産の場合、一次破砕と二次破砕の工程の間に貯蔵ビンがあり、この部分の上下で非常停止装置の及ぶ範囲を分けている。
 次に「コンベヤにおけるバックストップ対策」だが、これは法律で規定されているためほとんど問題がないという。ただし、「対策が万全でないと、コンベヤが停止した際に慣性力によって製品が転がり落ちて二次災害が発生する可能性がある」ために必要としている。
 また、「落鉱対策」は「ワイヤーが数センチ動くとコンベヤが停止する」というこの装置の感度が高いゆえに必要な措置。例えば、大きな原石が落鉱してワイヤーを巻き込んでも、装置が作動しコンベヤが停止してしまう可能性があるため、「特に原石や一次破砕物の落鉱対策が必要だ」としている。
 最後に、杉田専務は「この非常停止装置は、比較的安価に設置することが可能だが、安全に対しては高い効果を得ることができる。ベルトコンベヤにおける労働災害防止対策に困っている工場があれば参考にしてほしい」と述べている。

会社概要

 江ノ浦石産(株)は昭和45年に設立・操業を開始した。現在、資本金は六千万円で、道路用各種砕石、道床バラスト・割栗石の製造販売のほか、庭石や野面石などの販売を行っている。
 同社は神奈川県小田原市の西部に位置しており、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町のほか、静岡県熱海市など広範囲にわたって営業展開を行っている。
 また、昭和61年からは産業廃棄物中間処理業の許可を取得し、アスファルトコンクリートやセメントコンクリート、コンクリート二次製品などの廃材の受け入れを開始、これに伴って再生砕石の製造販売も行っている。

原材料費
品名 規格 価格(円) 備考
リミットスイッチ   3,200  
プルボックス 150×150mm 1,100 塩ビ製
コイルスプリング 25φ素材径2mm 300 ステンレス製
ケーブル滑車   750  
垂れ止め 6mm丸棒加工 500  
ステンレスワイヤー 2mm 50 mあたり単価/1.5mm径でも可
電工用圧着スリーブ      
固定スタンド   250  
調整フックボルト   100  
レースウェイ 4m切断加工 1,600 プルボックス固定用
ケーブル 1.25mm2 60 1mあたりの単価
AC-DCトランス AC200〜DC24 8,800 「システム」で1個のみ
リレー(DC24V) ソケット共 1,000 「ブロック」ごとに1個必要
 

出典:日本砕石新聞 2008年4月15日

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