国土交通省が2日発表した建設投資見通しによると、05年度の総額(名目)は53兆4600億円で前年度比1.8%増と9年ぶりにプラスとなり、06年度は52兆9100億円で1.0%減となる見通しだ。政府建設投資は8.7%減と大幅に減少するが、民間建設投資が3.5%増とプラスが続くため総額の減少は小幅となる。これを基にすればセメント需要は、原単位の低下を見込んでも5800万トン(前年度比1.8%減)となり、セメント協会見通し(5700万トン)を上回る。
05年度の建設投資は政府部門19兆8800億円で3.1%減だった。1999年度以来7年連続の減少で、85年度以来20年ぶりに20兆円を割り込み、95年度のピークに比べ56%の水準に落ち込んだ。ただ、災害復旧工事が増えたため従来より減少幅は縮小した。民間部門は33兆5700億円で4.9%増加し2年連続のプラス。住宅投資が堅調で1.3%増えたのに加え、活発な設備投資により非住宅投資が9.9%の大幅増となった。
これに対し今年度は、政府部門が18兆1500億円で8.7%減少する見通しだ。当初予算の一般公共事業費が4.4%減少し、地方単独事業費が19.2%減少しており、災復工事が減ることも響く。一方、民間部門は34兆7600億円で3.5%増加する見通し。住宅が1.4%増と堅調が続き、非住宅は設備投資の増加により6.1%増と高い伸びが続く。
建設投資のピークは92年度の84兆円。これに対し06年度見通しは63%の水準。この間、31兆円減少することになる。ただし、05年度は04年度に対し9300億円増え、06年度の減少が5500億円と小幅になるため、今年度は04年度実績を若干上回る見通しだ。
建設投資1億円当たりのセメント需要(原単位)はこのところ110トン前後で推移しており、05年度は110.5トンと0.9トン上がった。原単位が比較的高い災復工事が増え、RC造のマンションが増加したことも原単位を上げる要因になったと見られる。
今年度は災復需要が減少し、土木工事のウエートも下がるため原単位は低下すると予想される。仮に04年度並みの原単位109.6トンとすれば、セメント需要は5800万トンの見通しとなる。05年度より100万トンの減少にとどまる。 |