KOMATSU
経営・技術イノベーションコマツ・ソリューション鉱山採石テクノロジ業界情報インフォメーション耳寄りリンク集

HOME > 業界情報 > SAISEKIコラム
業界情報
SAISEKIコラム 緑化

環境負荷の低減へ/緑化でCO2削減〜景観向上、騒音を低減
ポーラスで環境再生 自然の浄化作用を付加

 日本コンクリート工学協会の「環境対応型コンクリートの環境影響評価手法の構築研究委員会」は昨年7月、報告書をまとめた。報告書には環境対応型コンクリートを評価する上での指標や、総合評価方法についての提案がなされており、環境対応型コンクリートの要求性能について解説しているが、以下に同報告書で取り上げている要求性能の概要を紹介する。

1.緑化・植生性能
  緑化の主要な機能としては物質生産、環境保全、文化向上の三つに大別でき、多くは複数の機能を有している。緑化や植生を促すことにより、(1)大気中の二酸化炭素の吸収固定(2)植物の光合成による汚染物質の吸収(3)植物が障壁となり、騒音を低減する(4)気象の調整(5)樹木の枝葉が上空を覆うことによる気温などの気象条件緩和(6)生態系の保全(7)景観の向上(8)「飛砂・地吹雪防止効果」「雪崩等防止効果」などの安全向上-などの効果が期待できる。
  このうち「二酸化炭素(CO2)の吸収固定」については、樹木の光合成活動により大気中のCO2を有機物として固定する働きを活用、緑化によりCO2を削減する。しかし、植物が枯死し有機物から無機物に分解するとCO2を大気中に大量放出するため、植物による固定は一時的にCO2を植物の体内にストックする「CO2ストック効果」と呼ばれている。また「大気浄化」については、植物の呼吸や光合成に伴いガス状の汚染物質を植物の体内に取り込む「吸収」や、固体・液体状の汚染物質が植物の表面に付着する「吸着」、上空への拡散、樹林中で風速が低下し、汚染物質が重力落下する「沈降」などの効果がある。

2.水質浄化性能
  ポーラスコンクリートは従来のコンクリートに比べ生物付着機能が優れており、水辺環境の修復・再生材料に効果的との報告がなされている。またポーラスコンクリートの連続空隙内にバクテリアなどの微生物が住み着くことで食物連鎖が活発になり、自然の浄化作用が付加される。近年、自然環境に対する認識の高まりから、親水性の緩傾斜護岸など生態系に配慮した環境対応型コンクリートの適用が求められている。それとともにポーラスコンクリートの多孔性が注目され、河川護岸などに使われるようになった。
  環境対応型コンクリートを用いた水質浄化方法は、付着生物による有機物分解能力を利用した生物浄化方法だ。具体的には、汚濁水が流れる一定のエリアに接触材(球状、角状、パイプ状のブロック)を設置し、連続空隙構造のブロック内に汚濁水を通して礫間接触酸化により水質を浄化させる方法である。メカニズムとしては、初期段階にスライムバクテリアと呼ばれる生物膜が付着し、次に藻類・原生動物(ミドリムシ、ゾウリムシなど)・後生生物(輪虫、線虫など)といった小さな生物が生息する。さらに貝類やエビ・カニなどの甲殻類、魚類を含む食物連鎖が形成される。生物による代謝が営まれることで、結果的に有機物の固定、分解により水質浄化が行われる。
  一方、このような浄化法はその能力に限界があるため、水質改善の目標レベルによっては適用できない。つまり、自然界に生息する生物の人為的なコントロールが難しいことや、物理化学処理である強制ろ過や薬剤を使用しないことから、下水のような高濃度濁水は微生物の分解能力を超えるため、透明度の高い水質に改善することは難しい。

3.温熱調和性能
  近年、ヒートアイランド現象が問題となっているが、コンクリートがその原因の一つと考えられている。コンクリートは日射熱を吸収するため表面温度が気温に比べ高く、また蓄熱量が大きく夜間も熱を放出するなど、気温の上昇につながると指摘される。
  こうした熱環境の改善のため、コンクリートの温熱調和性能に関する研究が盛んに進められている。また東京都が2005年に作成した「ヒートアイランド対策ガイドライン」には、対策メニューとして(1)敷地緑化(2)屋上緑化(3)壁面緑化(4)屋根高反射率化(5)保水性舗装(6)建物などの排熱削減―などを挙げている。

4.調湿性能
  調湿性能とは、湿度が高くなると空気中の水分を吸収し、低くなると放出する性能で、無垢の木や土壁、漆喰壁などはこうした性能が高いとされている。調湿性能を有する調湿建材は「多孔質性材料の持つ水蒸気の吸湿・放湿作用を利用し、室内の相対湿度の変動を緩和し、また適度な湿度となるよう自然に調整する内装用の材料」と定義されている。
  通常、気温20-25度、湿度40-60%が快適域とされている。従来の住宅は気密性が低かったことと無垢材など吸放出性能がある建材を大量に使用していたため調湿性に富む室内空間が形成され、結露は起こらなかった。しかし、現在の住宅は高気密、高断熱が主流で、金属やガラスなどの吸放出性能がない建材が多いため、湿気が室内に停滞し結露するという問題が発生している。この問題を解決するため、調湿建材の吸放出性を利用して室内の湿度を調整することが要求される。

5.吸音・遮音性能
  騒音の低減と防止対策には、音の発生源を取り除く方法や発生した音の伝搬を低減する方法などがある。遮音対策として、普通コンクリートによる緻密かつ一体振動する壁面構造とすることにより、遮音構造として利用されているほか、多孔質材料は吸音性能が優れていることから、連続空隙を有するポーラスコンクリートを用いた研究も進められている。
  ポーラスコンクリートを用いた吸音のメカニズムは、音が多孔質材料の中に入るとその一部は反射されるが、残りは内部に伝搬され、コンクリートとの摩擦や空気の粘性摩擦により、音エネルギーが熱エネルギーに返還され減退する。

6.生物多様性能
  コンクリートの使用は生物の生育、生息場を直接改変するため生物多様性への何らかの影響は避けられなかった。このため、材料や形状の工夫で生物の生息生育場となる植生基盤材を作る構造や避難場として有効な空間を設ける構造など、構造、施行上のさまざまな工夫が試みられている。
  生物多様性に対する保全上の目的は生物の生物種や生態系をできる限り回復させることにある。このためコンクリート構造物に対する要求は良好な生物の生育生息場を提供することで、その後さまざまなかく乱作用などを受けて変動しながらも長期間維持し、その質を向上させることとなる。

7.景観性能
  景観は、人間生活での周囲のもの全てであり、対象となる空間が河川の場合は「河川景観」、道路の場合は「道路景観」、都市の場合は「都市景観」と呼ぶ。人間を主体とし、その視覚能力と知覚能力を総合して対象の存在する空間をどう捉えるかということが問題であり、知覚については生得的な能力と経験的な認識が混在している。
  河川景観を例に挙げると、一般的な河川に対する景観としては山紫水明な自然景観、歴史的構造物を主対象としている景観、背後の構造物、風景と一体となった景観などが挙げられる。河川にコンクリートを使用する目的は治水だが、環境対応型コンクリートを用いた場合、生態系の連続性や回復が求められるため、景観も重要な要素となっている。

出典:コンクリート工業新聞 2008年2月21日

このページのトップへ

採石コラム記事一覧業界情報インデックス

Copyright (C) 2008 Komatsu Ltd. All rights reserved. ご利用上の注意 | お問い合わせ | サイトマップ
HOME