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コマツ・ソリューション
導入事例

Vol.5 建機用ディーゼルエンジンと第3次排気ガス規制
排気ガス規制のなりたちと目的
建設機械用エンジンの排気ガス規制は、1996年にTier1規制が米国で開始され、日本での旧建設省排出ガス対策型建設機械の指定制度も1996年度から実施、その後Tier2規制(第2次規制)を経て、現在Tier3規制実施の直前にあります。
建設機械の大多数の機種ではディーゼルエンジンが使用されていますが、一般的にいわれているように、ディーゼルエンジンから排出される、NOx(窒素酸化物)、PM(浮遊粒子)は、乗用車などに使用されているガソリンエンジンに比較して多いのも事実であり、排気ガス規制はこれらの排気ガス成分を段階的に減らすために設けられています。
ディーゼルエンジンが必要な理由
ディーゼルエンジンには、他の原動機にはマネのできない決定的なメリットがあります。
(1)1気筒当たりの排気量を大きくすることができる
ガソリンエンジンでは、シリンダの直径が大きくなるとノッキングが発生するため、シリンダ直径に制限があります。現在コマツでは、シリンダ直径の大きなエンジンとして「直径 125mm・140mm,・170mm」 のエンジンを量産しておりますが、このような大きなシリンダ直径を持ったガソリンエンジンは、基本的にありません。
また、コマツの6D170エンジンは、6気筒で排気量 23 Lですが、これをガソリンエンジンで作ろうとすると、1気筒当たりの排気量を500ccとして46気筒が必要となり、とても現実的ではありません。
(2)取扱いが容易な軽油を燃料としている
軽油はガソリンに比べて引火点も高く、安全な燃料です。建設機械のように燃料を配達に頼っている場合、安全面で非常に有利です。また、液体燃料であり、ガスなどに比較しても、その優位性は明らかです。
(3)燃費が良い
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比較して20%程度燃費が良いといわれています。CO2削減、即ち地球温暖化ガスの削減には効果的です。これは乗用車でも同じことがいえます。ヨーロッパでは新車販売台数のほぼ50%が、ディーゼル乗用車といわれています。ディーゼルエンジンはNOx、PMの排出量が多いため「環境に悪い」というイメージがありますが、地球温暖化ガス削減の意味からは、環境に対する貢献度は大きいのです。
ディーゼルエンジンの利点は非常に大きく、ディーゼルエンジンがなければ大型トラックは動きませんし、宅配便も翌日には届かない、建設機械も動かない、即ち、今の便利な世の中が成り立たないことになります。
コマツでは、ディーゼルエンジンのメリットを残しつつNOx ・PMの低減を進め、全ての面で胸を張れるディーゼルエンジンの開発を目指して排気ガス規制対応に取りくんでいます。
Tier3(第3次規制)の概要
Tier3規制は、図1のとおり日本・米国・欧州で開始されます。
規制値の変遷について簡単に示したのが図2で、規制前に対して「NOx+HCで1/3程度、PMでもほぼ1/3の値」となっています。また米国では、Tier3の次のTier4がほぼ決定されており、図2のようにTier3の1/10程度となっており、この対応には後処理装置が必須なものと推測されております。
図1:第3次排気ガス規制の開始時期と規制値
図2:排気エミッション規制値の変遷
Tier3への対応技術
Tier1、Tier2、Tier3の各ステップで、どのような技術が採用されてきたかを示したのが図3です。
Tier3での特徴的な技術としては、「電子制御高圧燃料噴射装置」がほぼ全てのエンジンに適用されます。この代表例は「電子制御高圧コモンレール」です。
「電子制御高圧コモンレール」で実現されることは、
1. 高圧燃料噴射
2. 矩形に近い燃料噴射率
3. パイロット噴射、ポスト噴射による多段燃料噴射
4. 燃料噴射タイミング、燃料噴射量の電子制御

などがあり、排気ガス低減に対応するための様々な制御を可能にしています。またこの他にも、パワーカーブの作りこみの容易さ、低温始動性の向上などの利点もあります。
次に、アフタクーラ(ターボチャージャ後の高温、高圧空気を冷却する熱交換器)ですが、従来、多くのエンジンで使用されていた水冷のアフタクーラ(エンジン冷却水で冷却)は、ほぼ姿を消し、空冷のアフタクーラ(大気で冷却)が、主流となります。
空冷アフタクーラは、図4のようにラジエータの上流に装着される形となります。
空冷式のメリットは、大気は冷却水より低温であることから、エンジンに入る圧縮空気の温度をより低温化できることにあります。また低温であれば膨張が少なく、空気の密度もより大きくできます。その結果、高温燃焼で生成されるNOxの低減と空気過剰率アップによる燃費率向上を同時に改善することができます。
Tier3で初めて採用される技術として、EGR(Exhaust Gas Recirculation)があります。
図5に示すように、排気ガスの一部を吸気(給気)に戻すことにより、NOxを低減させる技術です。排気を戻す回路の途中にクーラを置き、排気ガスを冷却する機能をもっているものを特に Cooled-EGRと呼びます。
Tier3のエンジンの中には、C-EGR採用型・非採用型があるようですが、それには下記のような傾向があるようです。
C-EGR非採用:排ガス規制が比較的緩い低排気量エンジン
C-EGR採用:排ガス規制が厳しく、燃費重視型の大排気量エンジン
その他に採用される技術としては、可変ノズル型ターボチャージャなどがありますが、現在のところDPFなどの後処理を必要とするものはなさそうです。
最後に
排ガス規制に関しては、2006年のTier3の導入に続き、2011年前後にはTier4が適用される予定です。Tier4では、DPFや尿素SCR等の後処理が必須といわれており、フィルタ清掃、尿素水補給などユーザの皆様にご協力願わなければならない項目が出てくると考えられます。しかし、ディーゼルエンジンが素晴らしい原動機であることをご理解いただき、今後ともディーゼルエンジンの改良、発展にご協力いただければ幸いです。
 
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