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鉱山採石テクノロジ
ITシステム事例 Vol.11

リスク分析を用いて将来の事業価値を予測し、 NPV(正味現在価値)という値で評価
事業評価における「Crystal Ball」の活用

 今回は、最近石油資源開発などのリスクの高い事業の評価を行うツールとして使われているシステム「Crystal Ball」をご紹介します。
 事業計画に使う指標はこれまで固定した数値で検討されてきましたが、それを不確実性を考慮した確率モデルとして評価できます。何%の確率でどのような結果になるかが分析できるので、例えば将来今後の砕石事業が「黒字(0以上)になる確率」やそのリスク分析をすることができます。
 以下にその新しい評価システムの概略をご紹介します。文中の「事業評価」を「鉱山採石事業評価」と読み替えていただければと思います。

Crystal Ballの概要

 事業評価を行う場合、最もよく使われている手法は DCF法(割引キャッシュフロー法)です。DCF法では将来の事業価値を予測し、NPV (正味現在価値)という値で評価します。従来のDCF法ではNPVを1つの値として予測することしかできませんでした。
 「Crystal Ball」を用いると、モデルに確率分布を導入することで、NPVを確率的に予測することが可能になります。
 これにより単純な値の予測だけでなく、変動の幅や確からしさを知ることができます。

シミュレーション事例

 左図のExcelモデルは、ある事業をDCF法によって評価したものです。

 不確実性を考慮しないままのDCF法によって算出されたこの事業のNPVは91億円となっています。将来の予測であるからには、モデルには不確実な数値が含まれているはずですが、このままではNPVのリスクとリターンの関係を分析することができません。
  そこで「Crystal Ball」を使用することによって、NPVのリスクとリターンの関係や、何%の確率でどのような結果になるのかといった分析を行うことが可能となります。

 まず「Crystal Ball」はモデルの中にある数値の不確実性を、確率分布によって定義します(仮定の定義)。
  確率分布は、正規分布やポアソン分布など用意された20種類の確率分布の中から選択することが可能です。また、オリジナルの確率分布(カスタム分布) を定義することもできます

 このモデルで評価したいのはNPVなので、それを予測として定義し、シミュレーションを開始します。
  「Crystal Ball」は、スプレッ ドシートモデル上に定義された確率分布をもとに、モンテカルロ・シミュレーションにより乱数を発生させ、モデルを再計算し、その結果を右図のように予測ウィンドウに出力します。
  予測ウィンドウでは、指定した範囲の確率を簡単に求めることができます。例えば「黒字(0以上)になる確率」を簡単に
知ることができます。

 予測ウィンドウの出力形式は豊富に用意されています。図のような度数分布のほかにも、統計量、パーセンタイル、累積度数分布などもあります。また、棒グラフではなく、線グラフや領域グラフで表示することも可能です。

 「Crystal Ball」の多彩なシミュレーション分析機能があなたの意思決定を支援します。

シミュレーション結果の分析機能
〔単純なDCF法と「Crystal Ball」シミュレーションの比較〕
 事業(1)に対するNPVの予測値は、DCF法が91億円であるのに対し、「Crystal Ball」を用いたモンテカルロ・シミュレーションではマイナス313億円から800億円までずいぶんと幅があります。平均値としては145億円、黒字(0以上)になる確率は約70.4%です。

単純なDCF法では、このような「黒字になる確率」を知ることはできません。

〔複数の事業比較が簡単に〕
 同じようにモデル化した事業(1)、事業(2)、事業(3)を評価してみましょう。

 単純なDCF法から得られる事業(1)、事業(2)、事業(3)のNPVの値はそれぞれ91億円、123億円、101億円です。
  「Crystal Ball」を用いた手法では、黒字になる確率が最も高い事業は事業(2)の約99.4%です。続いて事業(3)の約85.9%、事業(1)の約70.4%です。どちらの手法でも事業(2)に対する評価が最も高いようです。
  ただし、それぞれの事業が最も波に乗った場合、つまり事業の最大値で比較すると、事業(1)が最も高いNPV を取っています。

〔重ねグラフで視覚的に比較が可能〕
 「Crystal Ball」には重ねグラフという出力形式があります。 これを用いると、3つの事業を視覚的に比較することがさらに容易になります。

 事業(1)、事業(2)、事業(3)に対する予測を1つのシートに重ねて表示することで、それぞれの事業を評価することが容易になり ます。事業(2)に対する予測は事業(3)に対する予測をやや右にずらしたような形になっています。このことから、事業2のほうが事業(3)より評価が高いことが分かります。

〔統計量グラフで詳細に予測値を分析〕
 統計量グラフは、予測値を詳しく分析したい場合に使用します。

 下図は、事業(1)に対する予測の統計量です。グラフからは分かりづらかった予測値の中央値や標準偏差、下限や上限などの統計量の詳細を知ることができます。


事業(1):黒字確率70.4%

事業(2):黒字確率99.4%

事業(3):黒字確率85.9%

<重ねグラフ>
〔傾向グラフで詳細に予測値を分析〕
 傾向グラフは時系列的な予測を見るのに便利なグラフです。

 下図は、事業(1)のモデルにおいて2年目から6年目にかけてキャッシュフローがどのように推移するのかを表した傾向グラフです。このモデルでは年が経つにつれて幅が広がっていく様子、つまり不確実性が増していく様子がよく表れています。
(傾向グラフを表示するためには、そのセルを予測セルとして定義しておく必要があります)

〔感度グラフで影響の強い仮定を把握〕
 感度グラフでは、予測に最も影響を与える仮定を知ることができます。

 棒グラフが右に伸びていれば正の影響が強いことを示し、左に伸びていれば 負の影響が強いことを示しています。
左右の向きに関わらず、棒グラフが長ければ長いほど強い影響を与えていることになります。

 下図は、事業(1)に対する感度グラフです。このモデルの場合、予測に最も影響を与えている仮定は1年目の売上でした。続いて成長率が影響を与えているようです。 「Crystal Ball」は、棒グラフの長さ(絶対値)に応じて順番を自動的に並べ替
えてくれるので、 影響の強い仮定をすぐに知ることができます。

その他の機能
〔使いやすい出力機能〕
 「Crystal Ball」では、これまでに挙げた出力内容のすべてをExcelのワー クシート上にレポートとしてまとめて出力することができます。もちろん、出力する内容は必要に応じて選択することが可能です。

 右図のレポートはサマリ、統計量、グラフをまとめた事業(1)に対する予測のレポート出力結果です。

〔意思決定の支援機能〕
Crystal Ball 7 Professional Editionでは、 これらの機能に加え、スピードが従来と比較して10倍から100倍にまで向上した
◆ 最高速シミュレーション
◆ 最適化ツール:OptQuest
◆ 時系列分析ツール:CB Predictor
があります。これらを組み合わせることで、リスクの理解だけでなく、よりよい意思決定を支援することができます。
<「Crystal Ball」は予測ツールとしてだけでなく、分析ツールとしても有効なツールです>
編集協力:株式会社構造計画研究所
構造計画研究所は、コマツのパートナー企業です。
Crystal Ballに関するお問い合わせはこちらから
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